■続出する老老介護の限界
老老介護を続ける中、介護者が要介護者を殺めるという事件は後を絶たない。昨年7月、当時102歳の母親を殺害した71歳の娘に対し、東京地裁は先月17日、認知症の母親を12年にわたり1人で介護したことに「介護負担は決して軽いものではなかった」として、懲役3年・執行猶予5年・保護観察という判決を出した。裁判長も、被告人の対応能力を超えることで起きた事件だとし、殺人事件ながら刑務所に収監されることがない同情的な判決が出たと話題になった。
自身もヤングケアラーだった経験を持つ介護ジャーナリスト・小山朝子氏は「こういう事件が起きると、やはり介護がクローズアップされるが、経済的に苦しかったり(介護者の)メンタルが弱かったり、いろいろな背景もある」と実情を語る。また、老老介護を解消する手段として、施設の利用が真っ先に思いつくところだが、「特別養護老人ホームなど介護保険が適用となる施設は比較的費用は安いが、経済的に逼迫している、介護者の精神状態が弱い、ヤングケアラーであるなど、点数(優先度)順に入居できる。また特別養護老人ホームは、程度が重い『要介護3』以上の方が入るので『1』や『2』、『要支援』の人は入れない」と、施設利用のハードルについても触れた。
また政府としても、高齢者や障害のある方が住み慣れた地域で生活を続けられるように「地域包括ケアシステム」を推し進めている。家族介護者を支援するNPO法人「てとりん」の代表理事・岩月万季代氏は「今、まさに介護の在宅化が進められていて、認知症の方でも地域で受けていこうという啓蒙活動、受け皿を広める動きがある。ただし今、介護者に対する制度はない」と、状況を説明した。
■高齢化で老老介護が破綻
