■教師を守るガイドラインも

カスハラ対策ガイドライン
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 世界的に見ても、日本の教師の役割は圧倒的に多いと言われている。すぎやま氏は「もうめちゃくちゃに多い。朝7時半には学校に行って、そこからもうずっと一日中、座るまもなく走り回っている。とにかく過酷で過重労働」だと打ち明けた。この状況に対して、文部科学省も動き出している。今年9月から、学校以外が担うべき業務などを整理。登下校時の通学路での見守り、児童生徒が補導された時の対応、学校徴収金の徴収・管理、保護者からの過剰な苦情や不当な要求への対応などがある。

 また東京都の教育委員会では、今月2日にカスハラ対策ガイドライン案を出した。内容は保護者からのカスハラに対して学校側を守るもので、保護者が最初に来校したり電話をしてきた際は日程調整までにとどめ、そこからは教職員、副校長などの管理職、弁護士や心理士など、1人がずっと対応することなく、段階に応じて変えていく。面談は平日の放課後・原則30分まで、暴行や脅迫などは警察に通報、面談は録音や録画といった内容だ。

 突然来校した保護者に「5時間拘束された」という経験を持つすぎやま氏は、この都教育委員会の案には「とても画期的なガイドライン。本当に全国の自治体で参考にするべき。こういう教員を守るガイドラインは必要だ」と高く評価する。

 さらに奈良・天理市では2024年からカスタマーセンターともいえる保護者対応の専用窓口「子育て応援・相談センター」も設置された。ここでは元校長・公認心理師らが保護者の相談・要望に対応。寄せられる内容は9割が保護者自身の悩みで、職場関係の悩みや、子どもとの向き合いに対する不安などが含まれている。

 自民党の小林史明衆議院議員は「これは天理市だけでやる必要もなく、全国統一のコールセンターを作った方が絶対にいい。市町村ごとに『いいことをやっているよね』で終わるのが教育行政の問題。ここは早く全国展開した方がいい」と、自治体レベルで対応せず全国展開することが望ましいと訴えていた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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