■女性天皇待望論の是非
宮内庁に23年間勤務した皇室解説者の山下晋司氏は「愛子内親王の評価が高いことは喜ばしいが、人気で天皇になるのは好ましくない。すでに成人されている状況で、制度を変えることは、ヨーロッパの王室でもない。制度が変わって以降の人に適用するのが当然であり、気持ちはわかるが、“愛子天皇待望論”に結びつけるのは間違いだ」と語る。
歴史学者で、名古屋大学人文学研究科准教授の河西秀哉氏は「象徴天皇は、国民や社会の鏡だ。となると『なぜ男性しかなれないのか』という問題は残る。鏡である以上は、女性がなることも含めて考えるべきだ」とする。
皇位継承権を持つ皇族は現在3人だ。山下氏は「常陸宮殿下は上皇陛下の弟で、天皇陛下より下の年齢は秋篠宮殿下、次の世代となると悠仁殿下のみ。おひとりに皇位継承の責任を負わせるのか。結婚や子どもができる確率からも難しい状況にあるが、こうしたものは急に変わらない。今のうちに変えておかないと、将来問題が出る」と指摘する。
政治学者の岩田温氏は「男系男子を継承すべきだが、なにか対策を講じないといけない。『男系男子は伝統でしかない』と言うが、伝統は大事だ。ローマ教皇も男性しかなれないが、『男女平等の時代だから、女性も教皇にしろ』という議論は起きていない。日本は有史以来、どこを切っても天皇陛下が存在する。この伝統を尊重しながら、時代に適応していくべきだ」と考える。
■「一般の人が入るのは難しい」
