■「酒、タバコ、オーバードーズが揃って“本番”」

 トー横に頻繁に出入りし、ストレス解消のためにオーバードーズをすることもあるBADさん。きっかけは、会社の人間関係などのストレスに逃げ場がなく、周りの友人に相談した際に勧められたこと。普段は咳止め薬1箱(20錠)〜3箱(60錠)、抗アレルギー薬1瓶(60〜120錠)をアルコールとともに摂取するという。

BADさんのOD(左列中段)
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 オーバードーズにより酩酊状態になることを指す「パキる」状態について、「簡単に言ったらハイになる感覚。テンション上がって、みんなとワイワイガヤガヤして、お酒よりも強い感覚」と表現する。BADさんにとって、酒、タバコ、オーバードーズが揃って“本番”であり、「ストレス発散方法がそれになっている」と語る。

 厚労省研究班の調査(2021〜2022年)では、過剰摂取に使用された市販薬の種類は平均1.5個、錠数は平均101.8錠(中央値76.5)。健康被害として、意識を失う、心臓が止まる、呼吸が止まる、急性中毒を起こす、依存するなどのリスクがある。

 BADさんは「やめないと身体が壊れることはわかっている」と自覚しながら、一回に最大300錠を飲んだことがあるそうだ。「一気には飲めないので順番に、それも水ではなくお酒で入れたりする。次の日は二日酔いよりもひどくて、起きられなかったり、一日中昏睡状態だったり、逆にハイの状態のまま2、3日動き回ったりする」。それを踏まえ、「ボロボロに自分の身を削りながら、それでもあがいてもがいて生き抜いている生の実感がある」とした。

■「飲みニケーションならぬ“パキニケーション”」
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