■男性が生理痛体験で女性への思い込みを消せる?

生理痛体験が義務?
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 条例に賛成した荻野稔都議(都民ファーストの会)は、「日本はジェンダーギャップ指数が低いと言われる。男女の賃金格差や、女性管理職の少なさ、出産などで女性のキャリアが中断される問題がいまなお存在する。経済界からも『現状を解消して欲しい』と要望が上がり、今回の条例制定に至った」と説明する。

 生理痛体験会については、「副知事が取り組みの一例を挙げたものだ。この条例は基本的に、都や事業者、都民などに啓発して、意識を変えていこうという内容で、『体験しよう』という条例ではない。言葉がひとり歩きしている」と語る。

 条例に反対した佐藤沙織里都議(無所属)は、「女性活躍には大賛成だが、条例制定が拙速すぎる。白紙委任状態で『細かいことは指針で決める』としているが、指針ができた後に議会に上がるのかはわからないという。内容が決まっていないものをOKできない」と反対理由を説明する。

 そして、「指針の具体例として示されなかった1つが、生理痛体験会だった。こうしたものがどんどん組み込まれるのでは、との懸念が広がっている」とする。「東京都は、条例を1つ増やせば女性活躍が進むと思っている。問題は今までの法制を現場に浸透させられなかったことにあり、そのツケを責任逃れしているのではないか」。

 ハヤカワ五味氏は、「起業家であり会社員でもある立場として、女性の社会進出は支援されるべきだ」としつつ、「生理体験などの具体例が出ると、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が矮小(わいしょう)化されている感じがして、より対立を深める」と懸念を示す。「経営レベルと話して、『女の子はバカだからゲタを履かせないといけない』と言われたことがある。こう思う人たちが問題だ」。

 現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生は、「結局は中身が大事だ」と感じている。「妊婦体験をした人に、本当の妊婦の苦悩はわからない。たった10分、重いのを持って歩いて、何がわかるのか。生理痛体験も『わかったつもりのバカ』を増やすだけだ。痛みをどう定量化するのか、体験した男性が『こんなもんなら大丈夫』となった時のデメリットは……などを考えないまま進んできて、やっと出た副知事の1言目が『生理痛体験』なのはおかしい」。

■心を変える「理念条例」どう機能させる?
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