■「学校に教育の全部を投げてしまっている問題がある」

佐々木寛教授
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 現状の教育システムにも課題があるようだ。佐々木教授は「学校の現状は深刻で、そこには学校に教育の全部を投げてしまっている問題がある。歴史や政治の教育を教師だけでやるのは、マンパワーが足りない。結果的に外からクレームが付いて、子どもたちも『せっかく自分たちが決めたのに』とマイナスの経験になる」と考える。

 その上で、「これをチャンスにして、地域住民も歴史・政治教育に関わって教師を助け、子どもたちと話す機会を作る。そうすれば、責任の押し付け合いではなく、地域にとっていい教育になるのでは」と提案する。

 大学入試データベース未来図代表の孫辰洋氏は、「『学校教育において、どうやって歴史教育を構成するか』と『“桜花”を忘れない』という2つの目的がある。忘れないことは大事だが、今のリソース不足の学校ではできない」と話す。そして佐々木教授のアイデアには「100%同意だが、誰が地域の人を学校に巻き込み、誰が責任を取るのか。いま教育委員会や教師は悩んでいるが、違うアプローチはなかったのか」とコメントする。

 ジャーナリストの堀潤氏は、「正々堂々と『桜花中学校』と付けて、『住民の声が上がったが、当時の責任者は“桜花”の歴史を知らなかった。だからその歴史を考えて、次の平和を作る場所になる』といった位置づけもできるのでは」と考えている。

 中井事務局長は「僕たちには戦争の歴史を記憶する責任がある。戦争体験を直接した人が、だんだん日本から消えていく中で、次の世代にどう継承するか。今回『特攻機について知らずに、桜花と決めていいのか』と問題提起をした。これを受けて、当事者の中で論議をしてほしい」と願った。

(『ABEMA Prime』より)

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