■「あまり叱られなかった。それを今非常に悔やんどる」

 1976年に開校した戸塚ヨットスクールは、スパルタ指導によって非行や不登校の子どもたちを更生させていると話題に。しかし、訓練生が死亡する事件も発生した。現在、スクールでは体罰を封印している一方、子どものしつけに「体罰は必要」という考えにブレはないという。

戸塚氏とヨット
拡大する

 教育に対する戸塚氏のスタンスは、「受ける側のためにするのが体罰(善)、する側のためにするのは虐待(悪)」「体罰のやり方の中に“悪”があるだけ」というもの。また、「“叱るより褒めろ”が教育をダメにした」「叱られないと罪の意識が育たない」と、リベラル教育に反対している。

 戸塚氏は、「科学の定義は再現性。その法則に従えば期待した成果が出せるから、教育を科学でやれば教育問題なんか起こらんわけだ。今の教育は科学じゃなくて、精神論から作るリベラル。その結果が今の日本だ」と指摘。

 また、知ることと実行することは表裏一体だという「知行合一」の重要性を強調する。その一方で、教育を語る権威たちの多くは、現場での実体験を伴わない“知識の盗人”であり、戸塚氏が言うところの“偏差値秀才”だとした。

 そんな戸塚氏も、かつては自分を“偏差値秀才”だと認識していたという。あまり叱られたことがない子どもだったそうで、「それが、俺が今非常に悔やんどること。偏差値秀才の気持ちはようわかる。“俺が世界一や”という思いは、小学校から高校時代まで続いた」と振り返る。

 しかし、大学でヨット部に入ったことで価値観が変化した。「ヨットは大学に入るまで誰もやってこない。ヨーイドンでみんなやるわけだが、他のやつはどんどん伸びていく。そこで、“俺はダメなんや”“今まで偉そうに威張っとったのは間違いやったんや”と、己を知る。だからヨットをずっと続けている」。下に見ていた人の上達が早く、ヨットを通して反省と協調ができるようになったということだ。

■戸塚氏「子どもを叱って恥をかかせるのは悪いことか?」
この記事の写真をみる(4枚)