国土交通省は12月23日、残価設定型住宅ローンを支援することを発表した。SNSではいわゆる「残クレ型」とも呼ばれるこの仕組みは、住宅購入の新たな選択肢として注目されている一方、「残クレ」の課題が引き継がれるのではと不安視する声も上がっている。
「残クレ」と残価設定型の住宅ローンは何が違うのか、注意点などを専門家に聞いた。
「買い切るのが無理な時代」背景にある住宅価格の高騰
国交省が発表した残価設定型住宅ローンは、借入金額から将来の住宅価値(残価)を差し引いた金額を返済する仕組みだ。一定期間は通常のローンと同様に元金と利息を支払い、人生の後半期には利息のみを支払う「リバースモーゲージ型」を組み合わせることで、毎月の負担を抑えることが期待されている。
JTI(一般社団法人移住・住みかえ支援機構)の大垣尚司代表理事は、このローンが注目される背景について次のように語る。
「ローンの借入額が増大し、20年前に比べると、倍ぐらい借りないと家を買えなくなっている。でも所得は倍になっているわけじゃない。そういう中で銀行は40年ローンや50年ローンと(期間を)長くすることで、月の返済額を圧縮している状況だ」
転職が当たり前になり、退職金の額や有無すらも予測困難な時代。超長期のローンは借り手・貸し手双方にリスクもある。
さらに、大垣氏は寿命の延伸やライフスタイルの変化も理由の1つにあげる。
「もう自分の代で買い切るのは無理ということだ。昔は買い切ろうと思っていた。子供に相続させられるからだ。でも、今はもう90歳ぐらいまで死なない時代。すると家を渡す頃には、子供はもう60歳を超えていて、親の家はいらないだろう。今後は、例えば子育てが終わったら違うところへ行きたいといったようにライフチェンジに対応していくことが、新しい時代の住宅政策なのではないか」
“残クレ”との違いは?差額の返済義務「ノンリコース」とは
