■体験格差が生み出すものは
今回の取り組みについて安部氏は、体験を通じて育まれる能力の重要性に触れた。「体験価値が高まっており、コミュニケーション能力、自立心、主体性、協調性のような能力が非常に重要であるにもかかわらず、体験を通じてしか得られないことがだんだんわかってきた」。
安部氏が危惧するのは、この体験の有無が、単なる思い出の差にとどまらず、将来の進路の分岐点に直結している点だ。「今、(大学に)一般入試で入る生徒というのは半分いない。だから大学はそもそも体験を前提としている入り口になっている」。
かつて高校の校長を務めていた荒井優氏も、今の時代が「偏差値主義」から「経験主義」へとシフトしていると分析し、体験が子どもに与える影響について語る。「学校の教育は、世の中の方向性が決まってる時は偏差値主義になりやすい。今のような時代がどう変化していくか分からなくなると、たくさんのことを経験させる経験主義になる。今すごく経験主義になっていて、そこに体験している・していないという『体験格差』という言葉をみんなが気にしている」と述べた。
■子どもをどう体験させるか
