■ミニマムアクセスから始める体験の保障

 議論を重ねた中で、荒井氏は改めて「体験格差」という言葉を重く受け止めがちである状況を整理し、小さなところから始めることの意味を説明した。「『体験格差』と難しい問題に捉えがちだが、僕はミニマムアクセスがあっていいと思う。たとえば地域が保障している体験には、町内会の夏祭りがある。親に連れていってもらって、ヨーヨーを買ってもらったり、自分で買ったり。ミニマムアクセスとして、新幹線に乗る必要があるのか、夏祭りに関してはどうなのかといったことを、まさに議論するためにプラットフォームができた」。

 また安部氏も今後進めていく活動について、体験に優劣をつけずに進めていくことを強調しながら説明した。「我々は体験に優劣をつけないとずっと言い続けてきたので、いろいろな団体さんが乗っかってくれたのが大きい。基本は福祉から入り、厳しい子には『あなたは悪くないよ』というところから始めて、その出口は教育であるべき。つまりしっかり安心・安全になって社会に対して信頼できる状態になったら自立をさせることになるが、その自立に関して非日常的体験がすごく向いている。ただ、その手前の日常的な伴走の方が大事なので、我々のような大人、もっといえば近くにいるおじさん、おばさんが子どもに対して『あの子に必要な体験はこれだ』とパッと閃ける社会になる方がいいし、そういう知識をみんなで広げていければいい」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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