■永田町に持ち込まれた新風
2025年12月、臨時国会会期中の参議院議員会館。安野氏の事務所は、他の議員の部屋にはない特徴を備えていた。自身の執務室には土足厳禁の緑のスペースが広がり、打ち合わせの部屋にはホワイトボードやディスプレイが並ぶ。「ディスプレイを見ながら、みんなでしゃべったりオンラインの大規模な会議をやったり。ホワイトボードでいろいろ書きながらやったり。スタートアップ(企業)的な空間を永田町に持ち込もうコンセプト」と、雰囲気づくりから始めている。
朝早くからミーティングをこなし、正午を過ぎてもランチの時間は取れない。巨大なクッションに座りながら、パソコンを手にオンラインミーティングを続ける。 そこで議論されているのは、自身がリリースした「みらい議会」についてだ。
「これは国会でどんな法案が検討されているのか、分かりやすく伝えるためのプラットフォーム。法改正のポイントは、いい意見、反対意見、賛成意見、それぞれどういうものが出ているのか。そしてチームみらいのスタンス、賛成なのか反対なのかをまとめている」。
党の代表として国会、委員会では質問に立つことも出てきた。所属する総務委員会で質問に立つことになったが、今回、「チームみらい」に与えられた質疑の持ち時間はわずか10分。この短い時間をいかに有効に使うか、チーム全員で考え抜く。
「国会議員の仕事は、質疑に立ち、何か質問によって物事を動かすっていうのが役割、できること。きちんと与えられた10分をいかに上手く使って世の中前進させていくか」。
また、デジタル技術の活用だけでなく、それに関わる人間への配慮も忘れない。週明けの委員会に向けた「質問通告」について方針を設けている。
「質問通告が遅くなってしまうことによって、省庁の方の残業であるとか、そこに負荷が集中してしまうことが起きる。営業日2日前の5時、そこまでには送るようにしようと思っている」。
ある日行われた「AIと民主主義に関する勉強会」。与野党が、党派を超えて中堅、若手議員が集まるもので、安野氏が平将明前デジタル大臣に持ちかけて発足したものだ。デジタル技術を活用して国会運営を効率化できないかなどがテーマで、ここでも安野氏は影響力を発揮している。
メンバーの一人である立憲民主党・中谷一馬衆議院議員も一目置く。「極めて心強い。超党派、みなさんとのコミュニケーションをチームみらいの方は大事にしている。みんなと深くコミュニケーションを取りながら、建設的な議論ができる環境が整っている」。
■激動のスケジュールと、変わらぬ信念
