犯罪にはある意味“時効”のようなものもある
「不同意わいせつや不同意性交といった刑法犯に加えて痴漢とか盗撮といった条例違反も対象になる。確認の対象になる犯罪にはある意味“時効”のようなものもあり、例えば、有罪となって拘禁刑が執行された場合、刑が終わってから20年までのものを対象にしている。執行猶予判決や罰金刑の場合は課されてから10年が経過しないものが確認の対象になる」
犯罪事実の確認の流れ
━━犯罪事実の確認の流れは?
「まず事業者の方がこども家庭庁に申請するのだが、犯歴の情報は法務省にある。そのため、こども家庭庁が法務省に照会して、回答をもらい、またこども家庭庁から事業者に伝えるという流れになる。犯歴がない人であれば、日本国籍を持っている場合、約2週間で『犯歴なし』という結果が返ってくる。犯歴があると申請後、こども家庭庁からまず本人にだけ通知が届く。そして2週間、『本当に犯歴ありで間違いないですか?』と確認する期間がおかれる。その間、例えば本人が内定者の場合、『私は内定を辞退します』と言えば犯歴の情報は事業者には伝えられることはない」
制度は「初犯を防ぐ」ことにも貢献するか?
━━この制度は「初犯を防ぐ」ことにも貢献するか?
「新しく『不適切な行為』という概念を設定し、その対策を事業者に求めているのだが、ある意味踏み込んだ内容になっている。不適切な行為とは例えば『児童とSNSで私的なやり取りをする』『休日や放課後に児童と2人きりで会う』など、こういう行為が積み重なっていくと児童への性暴力等につながり得るとして対策を求めるのだ。ただ、どこまでが不適切なのかは事業者ごとに変わってくる部分もあるため、事業者ごとに『どこまでが不適切か』という共通認識を作ることもある意味義務となる。ただし難しい面もある。例えば子どもを膝に乗せるという行為は高校生であればアウトだが、保育園や幼稚園の場合は必要な場面もあるという。そういうことも踏まえて、事業者ごとに決めていくという制度の立て付けになっている」
━━今後の課題は?
「1つはこの制度自体の実効性を確保できるかどうかだ。民間は義務ではなく任意であるため、どれだけ広がっていくかが課題になるだろう。『認定マークが付いているから安全だね』という世論ができていくかが重要だ。2つ目は現場が萎縮する可能性だ。検討会の中でも最後まで『現場が萎縮しないような制度にしてほしい』という意見が出ていた。ガイドラインではかなり具体的に明示されているとはいえ、あれもダメ、これもダメとなると何もできなくなってしまう恐れもある。過度に委縮しないようにどのように事業者側でルールを作れるかが重要になる」
(ABEMA/ニュース企画)
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