試合は開始直後からシェイドゥラエフが強烈な打撃でプレッシャーをかけ、朝倉をロープに詰めると豪快な投げで何度もマットに叩きつける。必死に立ち続けた朝倉だったが、シェイドゥラエフは後方から強烈なパンチを効かせてテイクダウンし、バックマウントからパンチを連打してレフェリーストップを呼び込んだ。甚大なダメージを負った朝倉は担架でリングを降りることになり、インタビュースペースに現れることなく病院に直行。終わってみればシェイドゥラエフが朝倉を全く寄せ付けず、ワンサイドゲームで圧倒的な力の差を見せつけた。

 試合後の総括でRIZIN榊󠄀原信行CEOが「(シェイドゥラエフは)モノが違うように見えた。これから次なるコンテンダーが誰になるのか。どうやって攻略するのか。それを果たせるのかどうか」と語ったように、2026年以降のRIZINは「ストップ・シェイドゥラエフは誰だ?」が大きなテーマになってくる。

 これまでシェイドゥラエフはRIZINで武田光司、フアン・アーチュレッタ、久保優太、クレベル・コイケ、ビクター・コレスニック、朝倉未来を撃破。大会前の取材で武田が「シェイドゥラエフはサウスポーのグラップラーを苦手にしていると思う」と仮説を立てていたが、シェイドゥラエフも朝倉戦後のインタビューで「サウスポーはやりにくい」という主旨のコメントを残していた。

 この部分にフォーカスし、まだシェイドゥラエフと対戦していないサウスポーのRIZINファイターを挙げると、真っ先に頭に浮かぶのは平本蓮と秋元強真の2人だろう。平本はK-1・キックボクシング出身のストライカーで、オーソドックスとサウスポーをどちらも出来るスイッチヒッターだが、MMA転向後は主にサウスポーで戦っている。前述の朝倉戦でのKO勝利からも分かる通り、RIZINでもトップレベルの打撃スキルを持ち、その一撃はシェイドゥラエフに風穴を開ける可能性を秘めている。

 秋元は朝倉と同じJTT所属の19歳。2024年9月からRIZINに参戦し、ここまでの戦績は12戦11勝1敗を誇り、日本のMMAを担うファイターの1人として注目を集めている。平本と同じく打撃を得意とするサウスポーだが、組み技や寝技の対応力もあり、MMAファイターとしてのバランスの良さも光る。また19歳という年齢からも分かる通り、伸び代も十分だ。

 仮にシェイドゥラエフがサウスポーの相手を苦手にしているとしても、実際の試合では勝利を収めているわけで、シェイドゥラエフに勝つことはどんなファイターにとっても至難の技。誰が戦っても圧倒的不利な状況の試合になるが、朝倉と拳を交えた平本や朝倉と同門の秋元がシェイドゥラエフに立ち向かうことになれば、そこに感情移入するファンも多いはずだ。

 そしてシェイドゥラエフがベルトを持っている限り、平本・秋元以外のRIZINファイターたちもシェイドゥラエフの首を狙い、新たな選手たちがRIZINに参戦することになるだろう。当然そこには試合後に自身のInstagramに「また頑張ります」とコメントした朝倉も含まれる。

 「プロモーターとして色んな大会を作らせていただいて、結果“完結したな”という大会を迎えられず、いつもTo Be Continuedになる」と大会を振り返った榊󠄀原CEO。朝倉の大いなるチャレンジから「ストップ・シェイドゥラエフは誰だ?」という新たな戦いが始まることになる。

文・中村拓己
©︎RIZIN FF

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