富士山噴火「いつ起きてもおかしくない」その時、首都圏と私たちの生活はどうなる?
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 地震とともに日本で多い火山。中でも注目されるのは富士山噴火の可能性です。その防災・減災についてお届けします。

【画像】約2週間で150cm積もった宝永噴火時の火山灰

300年噴火なしの富士山 「いつ噴火してもおかしくない」

1707年の宝永噴火
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 富士山は過去5600年の間に180回噴火していて、平均すると約30年に一度の頻度で活動してきました。ただ、前回は1707年の宝永噴火です。そこから一度も噴火していない状況を考えると、いつ噴火してもおかしくない状況にあります。

 300年前は、宝永地震の49日後に富士山が噴火しましたが、その因果関係は明らかになっていません。富士山が噴火すると、近くでは大きな噴石が降ってきたり、高温の溶岩流が流れてきたりします。さらに、大規模な噴火になると、首都圏にも大量の火山灰が降り注ぐ可能性もあります。

山梨県富士山科学研究所
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 そんな富士山のことを深く知るため、番組は山梨県富士山科学研究所を訪ねました。富士山について教えてもらうのは、富士山科学研究所・吉本充宏研究部長です。

三山賀子アナウンサー
「吉本さんは富士山を研究されて、どのくらいなんですか?」

吉本さん
「2001年から始めて、24年ぐらい経っております」

三山アナウンサー
「私、2001年生まれ」

吉本さん
「あ、そうなんですか」

富士山科学研究所の吉本充宏研究部長
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三山アナウンサー
「富士山で噴火する可能性というのは、どのくらいの心構えでいればいいのでしょうか?」

吉本さん
「富士山というのは300年前に大きな噴火をして、それ以降噴火がないので、マグマとしては蓄積している状態。今後、将来的には必ずどこかでは噴火する。これが1カ月後なのか1年後、10年後、100年後かは、まだ我々には分からない」

首都圏にも降り注ぐ火山灰 鉄道・車・ライフラインへの影響

 まずは首都圏にも降り注ぐ可能性のある火山灰です。

三山アナウンサー
「富士山の噴火による被害はどんなものがあるのでしょうか」

吉本さん
「一つは300年前と同じように上空高くまで火山の動きが出て、そこから火山灰がもたらされるようなタイプ」

 1707年の宝永噴火で大量に降り注いだのが火山灰です。その量はというと…。

宝永噴火の時の火山灰
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三山アナウンサー
「すごい高さです。小柄な女性だと埋もれてしまうくらいの高さです」

 宝永噴火の火口から約14キロ離れた地域で積もった火山灰の高さは、なんと150センチあります。

吉本さん
「記録によると、初日は白い火山灰が降ってきたという伝えがあります。ここにちょっと白い軽石が見えていますね」
「ここが、初日の噴火の時に出てきたもので、2日目になると灰色の火山灰だという話になっています。ここまでが2日目で、それ以降は黒い火山灰が降ってきた」

降灰量
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 今年8月、内閣府が発表したシミュレーション動画によると、富士山から100キロほど離れた新宿では、主に直径0.5ミリ以下の細かな火山灰が降る予測が立てられています。降り積もる火山灰は10センチ程度だといいます。

 富士山から約60キロ離れた神奈川県相模原市だと30センチ程度。また、25キロほど離れた場所だと、直径2ミリを超える火山礫が降ることもあります。その時の風向きにもよりますが、神奈川や東京を含むオレンジのエリアでは、3~30センチの火山灰が積もるとされています。

1707年 宝永噴火の火山灰
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 300年前、実際に降ったものを見せてもらいました。

三山アナウンサー
「この大きさだったら当たったら怪我しそうです」

吉本さん
「富士山から大体15キロから20キロぐらいがこういったものが降って。ひょうと同じスピードで落ちてくるので、相当痛い。雪より5倍ぐらい重い。厚く積もりすぎると建物の強度によっては倒れる」
「雪と違って溶けないのが大変なところなんです。例えば、家。ベランダでたまった灰は、流してしまうと排水溝が詰まるなど。いろいろ気をつけなければいけません」

少し粒が細かい火山灰
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 少し離れた地域、神奈川あたりで降るとされている、少し粒が細かい火山灰です。アクリル樹脂にこすってみると…。

三山アナウンサー
「音を聞いただけで、痛いですね」

吉本さん
「これを見ていただくと分かります?」

三山アナウンサー
「傷ついた!」

火山灰をこすったことによりできた傷
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 アクリル樹脂があっという間に傷だらけになりました。

三山アナウンサー
「これが目に入ってこすったら、すごく傷ついちゃいますね」

吉本さん
「車のワイパーを動かして、じゃりじゃりってなってしまうと、フロントガラスに傷がつく」

 この火山灰は、ただ鋭利なだけではなく、様々な所に影響を及ぼします。

0.5mmの火山灰が降ると鉄道が止まる
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吉本さん
「0.5mmの火山灰が降ると鉄道が止まってしまうんです」
「鉄道の場合、レールの部分と車輪の部分に電気を通すことによって、そこに電車がいると認識している。火山灰が挟まってしまうと、電車がいるのに、いないことになってしまう。運行ができなくなる」

本物の火山灰を使用した走行体験
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 鉄道だけではなく、車にも影響があります。本物の火山灰を使用した走行体験をみると、まずは乾燥した火山灰の上を時速30キロで走ります。

記者
「これ、最後滑っていましたね」

 ハンドルを取られてしまいます。また、雨などで濡れている場合は…。

記者
「お~滑る滑る滑る、危ない危ない!」

坂道で前に進めなくなった車
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 ますます操作が難しくなります。坂道では…。

記者
「時速は10キロ/hくらい。全然進みませんね」

 全く進めなくなってしまいました。

山梨県火山防災対策室
関尚史室長(当時)

「自分の車は走れるという中でも、1台走れない車が出てくれば、道としては機能不全」

7~10日分の備蓄が必要
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 火山灰により移動手段が使えなくなり、物流がストップすることが予想されます。さらに、河川の水質が悪化し、浄水施設の処理能力を超えると、水道水が飲めなくなる恐れもあります。

 そのため、吉本さんとしては、7~10日ほどの食料や水などの備蓄はあったほうがいいとのことです。

三山アナウンサー
「7日から10日くらいの期間でどのくらい復活するものなんですか?」

吉本さん
「宝永噴火は2週間続きました」

三山アナウンサー
「そんなに続くんですね」

吉本さん
「2週間ずっと火山灰が降りっぱなしというわけではない。途中途中に、どれぐらい火山灰を除去する作業ができるかというところで、復旧のタイミングというのは変わってくる。火山灰が降っている最中は、真っ暗。なかなか作業が思うように進まない」

外出時はゴーグル、マスク、長靴などの完全防備
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 停電が発生する可能性もあります。雨が降った時には、降灰30センチ以上で建物の倒壊の危険性があるとされていますが、倒壊の可能性がない限りは、基本的には自宅での生活が原則とされています。どうしても外出の必要がある場合は、ゴーグル、マスク、長靴などの完全防備をして下さい。

1200℃溶岩流からどう逃げる?自宅での備え方

 富士山の近くで注意が必要なのは、溶岩流や火砕流です。

吉本さん
「溶岩流は富士山の場合、1200℃。非常に高温」

溶岩流の到達予測
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 溶岩流の到達可能性を表す地図を見ると、噴火から2時間で到達する可能性のある赤色は、富士宮市や御殿場市をほぼ埋め尽くしています。

吉本さん
「我々が住んでいる所まで流れてきた時には、人間が歩くくらいスピード。車いすの人など、歩くのが遅いという人は早めに逃げていただく。健康な人であれば歩いて逃げられます」

備えるべきこと
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 最後に、我々が改めて富士山噴火について備えるべきことを聞きました。

吉本さん
「まず、富士山が噴火したら、どういう現象が起こるかということを、知っていただきたい。自分の住んでいる所、自分が行っている所、そどういう現象の影響下にあるかを理解する」
「もう一つ大事なのは、富士山の噴火の場合、地震などの予兆、噴火の前駆的な現象が起きる。ただ、これは起こったからといって必ず噴火するわけではない」

三山アナウンサー
「知識をつけていれば、備えられることはあるということですね」

吉本さん
「そうだと思っています」

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