■科学の進歩に「動物実験は不可欠」

新薬開発と動物実験
拡大する

 こうした批判に対し、科学者としての立場から反論を展開したのが脳科学者の茂木健一郎氏だ。茂木氏はまず、認知症研究を例に挙げて動物実験の必要性を説いた。「アルツハイマー病とか、本当にかかると大変。今のところアルツハイマーのような認知症を、根本的に治す方法は知られていない。その実験は、やはりラットやマウスを使う。メカニズムはまだよくわかっていなくて、慢性的な炎症が原因になっている説が有力だが、そのメカニズムを理解するためには動物実験は不可欠だ」。

 続けて、癌研究における特殊な事例にも言及し、実験の代替が困難であることを強調する。「ハダカデバネズミという動物がアフリカの砂漠にいるが、この動物はなぜかガンにならない。ハダカデバネズミを研究して、癌になる動物とそうではない動物、何が違うのかを理解するのは、どうしても必要なことだ」。

 また、茂木氏は東氏が主張する「日本は50年の遅れ」という指摘についても、「1人1人の研究者や実験室レベルでも、倫理基準を満たさないと論文を出せないし、そもそも科学ができない。日本が諸外国に比べて極端に悪いという認識はしていない」 と異論を唱えた。さらに化粧品開発についても、「皮膚の様子で体のコンディションもわかる。皮膚を科学的に理解するのも、ものすごく重要な研究テーマ」であり、単なる刺激試験とは異なるサイエンスとしての側面を訴えた。

■感情と現実の狭間 求められる透明性
この記事の写真をみる(5枚)