賃貸に詳しい不動産仲介業者Aさんに話を聞くと、「裁判所から何回か通知があったと思う。それも無視し続けて行政の執行になったということ。僕らの管理しているところだったら1回は僕が行って、『払えよ』と言って、それで(支払い)なかったら保証会社に事故報告入れる。そこから保証会社が督促し出す。それで保証会社が電話したり、お手紙書いたりして。1年ぐらい多分、あの事件もずっとやり取りしていると思う」とのことだった。

 Aさんによれば、多くは家賃保証会社と契約し、家賃滞納による債務は保証会社が背負うため、滞納金の催促は保証会社が行うという。保証会社の収入源は「更新料。保証会社に(1年で)1万円とか」(Aさん)。初期費用として家賃と共益費の50%前後が支払われるほか、更新料として1年に1万円程度の収入があるという。

 事件当日、ここで何があったのか。詳しい状況が徐々に明らかになった。当日の午前10時ごろ、関係者がアパートに到着し、10時10分ごろ山本容疑者の部屋を訪問した。訪問したのは、東京地裁の執行官と保証会社の4人。山本容疑者はダンボール1箱を持って出てきて、「荷物はこれだけです」という内容の話をしたということだ。

 部屋を訪れた関係者によると、カセットコンロに使うガスボンベが数本見えたと証言。シューっとする音がして黒い煙が出ていたため、身の危険を感じ、アパートから路上に逃げた。するとその後、破裂音が聞こえ、そこに刃物を持った山本容疑者が現れ、路上にいた2人を刺したという。

 不動産仲介業者Aさんは、今回の事件は決して起きてはならないが、同業者の間ではいつか起きてもおかしくないと言われており、Aさん自身も気をつけていたという。

「1回あったのが、耐刃防護衣を着ていったことがある。やっぱり入居者の素性って、何年か住んでいたらわかる。『この人クレーマーだな』。僕らなら絶対警察来てもらう。相手がどんな人でも、こういうこともあり得るから」(Aさん)

元執行官「大抵の執行官は身の危険を感じたことがある。自傷行為も…」
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