■ なぜデモは拡大し、変質したのか

田中浩一郎氏
拡大する

 今回のデモが急速に拡大した背景について、慶應大教授、中東研究者の田中浩一郎氏は「経済問題という、全国に共通した意識を広げるだけの内容があったことは間違いない。しかし、それ以上に瞬く間に暴動にまで発展し、反体制的なスローガンに取って代わった。2025年はイラン人にとって水不足や、2024年6月のイスラエル、アメリカによる攻撃など、ろくなことがなかった。そこに通貨下落やガソリン値上げが重なり、経済的な不況をさらに苦しくするものだという受け止め方だった」と分析する。

 また、2022年に女性がヒジャブを着用しなかったことで死亡した事件に端を発したデモと比較し、「今回は反体制のスローガンが叫ばれるまでの時間が圧倒的に短かった。また、デモ隊側にも武装していた人たちがいた。前回は女性の参加者が多かったが、今回は圧倒的に男性だ」との変化を指摘した。

 イラン出身のロクサーナ氏は、「今回の件に関しては、もう本当に我慢の限界というか、国民の生命の限界が来ている上での大きな拡大だ。本来自分たちを守ってくれるはずの政府が、外交的に他国と仲良くできなかったから制裁で苦しめられている。規則も厳しく表現の自由もない。どっちに転んでも苦しめられている状況だ」との思いを語った。

 デモ参加者は何を求めているのか。「国民の生活の安定と保障、そして生命の危機の回避が一番だ。外交のあり方や、誰と味方になるかなどは、正直イラン国民にとっては二の次でいい。今の経済状況を変え、人間としての人権が守られる状況を切望している」と答えた。

■ ネット遮断の狙い
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