トランプ関税50%でもGDP成長率7%超えの秘訣

インド西部の町・スーラト
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 訪れたのはインド西部の町・スーラト。ここには、暗闇の中、手元の明かりだけで作業している人たちが。実はスーラトは「ダイヤモンドシティ」。世界のダイヤモンド研磨・加工の9割を占め、世界中へ輸出しているのだ。

 ダイヤ・宝飾品業界で約100万人が働くインドの一大産業だがトランプ関税の影響はやはり大きいという。

 そもそもコロナ禍によってダイヤは需要低迷・価格が下落していたが、去年8月、元々の相互関税25%に加え、ロシアからの原油を大量輸入していることに対しての罰金として25%が追加され、世界最高水準の50%に。その結果、全体のおよそ3割を占める最大の輸出先アメリカとの取引がストップ。このままでは多くの人が失職する可能性があると言われている。

 スーラト・ダイヤモンド協会 ジュイッシュ・パテル副会長は「関税の影響で輸出量は現在かなり減っており、雇用や小規模工場に影響が出始めている。25%の関税の時も対応に苦労したが、今回も大打撃だ」と現状を語った。

 こうした状況から、関税の影響を受けないように天然ダイヤではなく人工ダイヤに切り替える業者もいるという。

 インドの宝石・宝飾品輸出促進協議会 ジャエンティ・サバリヤ・グジャラート支部長は「天然も人工もカット・研磨の工程は同じで同じ労働者が作業する。そのため、天然で問題が起きた場合、人工に切り替え可能だ。天然ダイヤモンドの価値が下がった場合も人工に振り分けて対応できる。しかし人工ダイヤモンドは天然ダイヤモンドの10分の1の価値しかない」と語る。

 だが、そんな中でもインド全体の経済状況は好調だという。

 吉岡氏は「インド政府によると、2025年のインドのGDP成長率は予想を上回る7%超えで、日本を抜いて世界第4位の規模になる。インドは世界一の人口を抱えており、政策としても日本の消費税に相当する物品サービス税を下げたり、公共事業を増やしてエンジンをふかしたことで、トランプ関税の影響はあるものの全体で見ると成長を遂げた」と説明。

 インドとアメリカとの関税交渉については「実はインドのGDPの大半を占めるのは国内消費で、輸出は2割程度。トランプ大統領はインドに対して『アメリカの農産物をもっと買ってくれ』と迫ったが、この交渉に応じたらインドの農業関係者が失業してしまう。その差し引きを考え、インドとしては交渉に応じられないという選択をとった。大きな国内市場を抱えるインドはイギリスからの独立以来、全方位外交を敷いてきたので、脅しには負けないということだろう」と明かした。

アメリカはトランプ関税で「得」をしたのか?
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