将棋のプロ棋士にとって、「順位戦のクラス」と並んで自身のステータスを表す重要な指標が「段位」です。
「四段」でのプロデビューから、最高位である「九段」まで。棋士たちはどのような条件を満たせば昇段できるのでしょうか?
実は、昇段には「勝ち星の積み重ね」だけでなく、「順位戦の昇級」や「タイトル獲得」など、複数のルートが存在します。
本記事では、日本将棋連盟の公式規定をもとに、四段から九段までの昇段規定をわかりやすく整理・解説します。
目次
- プロ棋士の段位とは?昇段の4つのルート
- 【一覧表】「勝数規定」による昇段
- 昇段規定のポイントと豆知識
- まとめ
プロ棋士の段位とは?昇段の4つのルート
プロ棋士(正会員)は、奨励会を抜けて「四段」になった時点で誕生します。以降、成績に応じて九段まで昇段していきます。降段(段位が下がること)はありません。
昇段するためのルートは、大きく分けて以下の4つに分類できます。
1. 勝数規定:昇段後、公式戦で規定の勝数を挙げる(コツコツ派)
2. 順位戦規定:順位戦で昇級する(実力派)
3. タイトル・棋戦規定:タイトル獲得や一般棋戦で優勝する(一発逆転・エリート派)
4. 竜王戦規定:序列1位の「竜王戦」で結果を残す(竜王戦ドリーム)
段位別・昇段条件の詳細解説
ここからは、各段位へ上がるために必要な条件を解説します。
※各段位、記載された条件のいずれか1つを満たせば昇段となります。
【五段】への昇段条件
新人棋士が最初に目指す壁です。
* 順位戦:C級1組へ昇級
* 勝数:四段昇段後、公式戦100勝
* 棋戦:タイトル戦の挑戦者決定リーグ入り(またはトーナメントの一定段階進出)など
【六段】への昇段条件
中堅棋士としての実力が求められます。
* 順位戦:B級2組へ昇級
* 勝数:五段昇段後、公式戦120勝
* タイトル:タイトル戦の挑戦者になる(竜王戦・名人戦を除く)
* 棋戦:全プロ棋士参加棋戦(朝日杯・NHK杯など)での優勝
* 竜王戦:竜王戦2組へ昇級
【七段】への昇段条件
一流棋士の証とも言える段位です。
* 順位戦:B級1組へ昇級
* 勝数:六段昇段後、公式戦150勝
* タイトル:タイトルを1期獲得(合計1期)
* 竜王戦:竜王戦の挑戦者になる、または1組へ昇級
【八段】への昇段条件
トップ棋士の領域です。
* 順位戦:A級へ昇級
* 勝数:七段昇段後、公式戦190勝
* タイトル:タイトルを2期獲得(合計2期)、または竜王位を1期獲得
* 竜王戦:竜王戦1組優勝(挑戦者決定戦進出)
【九段】への昇段条件
将棋界の最高段位です。
* 勝数:八段昇段後、公式戦250勝
* タイトル:タイトルを3期獲得(合計3期)
* 名人・竜王:名人位を1期獲得、または竜王位を2期獲得
* その他:タイトル獲得数が合計3期に達した場合
【一覧表】「勝数規定」による昇段
タイトル戦や順位戦での昇段は華やかですが、多くの棋士にとって基本となるのは「勝数規定」による昇段です。
以前は通算勝数でしたが、現在は「前の段位になってからの勝数」で判定されます。
| 現在の段位 | 次の段位 | 必要な勝数 | 備考 |
| 四段 | 五段 | 100勝 | デビューから100勝 |
| 五段 | 六段 | 120勝 | 五段昇段後 |
| 六段 | 七段 | 150勝 | 六段昇段後 |
| 七段 | 八段 | 190勝 | 七段昇段後 |
| 八段 | 九段 | 250勝 | 八段昇段後 |
※つまり、勝数だけで四段から九段になるには、合計810勝という途方もない勝利数が必要になります。
昇段規定のポイントと豆知識
「規定適用 第1号」の快挙
藤井聡太竜王・名人が2018年に五段で「朝日杯」を優勝し、六段へ一気に昇段した事例が有名です。
実は、「全棋士参加棋戦での優勝で六段昇段」という規定は2009年に新設されたものでした。しかし、その後長らく該当者が現れず、約9年越しに藤井五段(当時)が史上初めてこの規定により昇段しました。 規定がありながらも誰も成し遂げられなかった条件をクリアした、まさに「抜群の成績」の例と言えます。
段位と強さは必ずしも一致しない?
「九段だから現在A級にいる」とは限りません。
勝数規定により、ベテラン棋士がC級に在籍しながら九段へ昇段するケースも多々あります。
そのため、現在の実力を測るには「順位戦のクラス」、棋士としてのこれまでの実績や格を測るには「段位」を見るのが一般的です。
まとめ
将棋の昇段規定は、棋士が積み重ねてきた勝利と栄光の証です。
* A級に上がれば八段。
* タイトルを獲れば七段以上。
* 地道に勝数を重ねても最高位の九段へ到達できる。
ニュースで「〇〇棋士が昇段」と聞いた際は、どのルート(順位戦昇級、勝数、タイトル関連)で昇段したのかを確認すると、その棋士の最近の活躍ぶりやキャリアの背景がより深く理解できるでしょう。






