そこで防刃ジャケットのノウハウをクマ用防護服に活用。しかし、刃物とクマには違いもあった。

「防護する部分は人とはだいぶ違って、クマの場合は一撃目は顔が圧倒的に多い。鋭的な切り裂きによる外傷とか、爪が食い込んだことによる感染症、その爪によって顔が麻痺したり。真っ先に爪の貫通を防ぐことが大事」

 実際に顔に大きな怪我を負った人は多い。クマに襲われた人の治療にあたる秋田大学医学部附属病院の土田英臣医師は「9割以上の方が顔面の怪我で来ているので。クマの習性として、弱点である顔面を本能的に知っていて狙っているのもあると思う」と指摘する。

 そのため、爪による切り裂きや感染症を防ぐことを考え、貫通させない強度を追求したという。

 笹田氏によると、実物のクマの爪を使用して強度を検証したそう。「実は刃物に比べるとそれほど尖っていない」。防護服に使用されているパネルを引っ掻くと、クマの爪の方が削れていく。さらに、「特注で鍛冶屋さんに作ってもらったクマの手を模した攻撃具」を使ってテストを実施。思いっきり殴打しても貫通しないことを確認した。

本物のクマと遭遇した場合、安心できるのか?
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