一体、なぜ山形市と新潟市はこれほどまで熱くラーメン日本一の座を賭け、争っているのか。取材してみると、そのきっかけが判明した。

 2021年、ラーメン支出額で山形市は2位に転落。樋口氏は「衝撃でしたね、やっぱり。普通に日本一と思ってましたから」と振り返る。それまで、ラーメン支出額8年連続日本一だった山形市をおさえ、新潟市がトップになったのだ。

 新潟のラーメン店主は、当時をこう振り返る。「そこで新潟ラーメン熱が上がりまして、みんなで新潟ラーメン盛り上げようよ!みたいなのがあった」(MENYA ISSHOW GROUP代表の小泉翔太氏)

 山形のらーめん め組店主・寒河江洸氏は「負けてしまったことによって火がついて、『絶対負けられない』みたいな意地が出てきて。やっぱり、勝たなければいけない使命感はあるのかなと」と話す。

 ラーメン日本一奪還を目指し、地元のラーメン店主らで「ラーメンの聖地、山形市を創る協議会」を結成。市内のラーメン店を検索するポータルサイト「#推しメン やまがた」を設立した。さらに、表にはラーメンの写真、裏には「お会計から100円引き」や「大盛り無料」など様々な特典が付いたキーホルダーをカプセルトイで販売した。

 そして翌年、その努力のかいあって、1位に返り咲き。王者は勝因についてこう語る。「本当に山形市の皆様のラーメンに対しての愛だと思う。常連のお客様が、去年1年間で318杯食べたって言ってました」(寒河江氏)

 しかし、ここでも新潟は負けていない。「僕の中で『2位でいい』と思っていて。2位って“挑戦者”じゃないですか。むしろ世界行くんじゃないか?みたいな。新潟のラーメンが山形を越して、もっと違うところに行くんじゃないかっていうワクワク感」(小泉氏)

 ちなみに、奪還に向けた秘策を聞いてみると、小泉氏は「全国的にも初めての試みなんじゃないかなと思うんですけど、お子様ラーメンを無料で提供するというプロジェクトを」と話し、大人ラーメン1杯につき、こどもラーメン1杯が無料になるキャンペーンを実施することを紹介した。

「冷やしラーメン」がある山形市は夏も消費量が落ちにくい
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