■拡散に「正義」を求める側の論理
一方で、SNSの拡散力を武器として頼らざるを得ない現状を訴える者もいる。番組には、いじめの被害者を救済したいという思いから、SNSで動画を拡散しているマサさんが出演した。
マサさんは、当初は晒し行為に罪悪感もあったが、活動を続ける中で心境に変化が生じたと語る。「正直、最初の頃はあまりよくないとは思っていたが、学校のいじめに関して投稿していくうちに、拡散して炎上するまで学校などが全然動いてない現状を知り、完全悪ではないのではと思いも変わった。(被害者が)見ていてすごくかわいそうだし、残酷だなと思っていたので、少しでも加害者が罰を受けて心が救われるならそれがいいと思う」。
マサさんによれば、自身が晒した案件の9割が進展したという。特に、被害者が警察に相談しても動いてもらえなかった事件が、SNSでの炎上をきっかけに警察が動き、逮捕に至ったケースを目の当たりにし、「騒がないと動いてくれない行政や学校に対して、正義感というか反感を持っている感じに近い」と、その動機を明かした。
これに対し、情報キュレーターの佐々木俊尚氏は「日本社会では内部告発がもみ消されるケースが多く、そこに対して風穴を開けたのがSNSだという流れはある。ただ、ポイントになるのは実名とか個人名を出すかどうか。個人名を勝手に特定して、根拠なく名前を出してしまうのはものすごく問題がある」と、拡散の意義とプライバシー侵害の危うさを切り分けるべきだと提言した。
■「正義」が暴走する社会への処方箋
