■5年間の服役、きっかけは「大麻の栽培と販売」

堀切健太さん
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 アーティストの堀切健太氏は2020年、大麻の販売と栽培(麻薬取締特例法違反)で逮捕され、懲役5年の刑を受けた元受刑者である。当時の価値観について「(大麻は)稼げた。たくさんいろいろなものが欲しいとか、どこかに行きたいというのがあった。結局、根本的に『人によく見られたい』という欲があった」と分析している。周囲への見栄や物欲に支配されていたことが、犯罪への引き金となっていた。

 懲役5年という月日は、堀切氏にとって自分自身と深く向き合う時間となった。彼は刑務所の中で膨大な本を読み、絵を描き続けた。そこでたどり着いたのが「足るを知る」という考え方だ。

 「懲役中は、部屋に(物が)とても少ない。なんでも1つしかないが、それでも生活は回る。自分は本をたくさん読んで『足るを知る』に至った。自分のやるべきこととか熱心なものがあれば、それだけですごく充実した日々になった」。

 堀切氏は、記号化された無機質な受刑者たちの姿をモチーフにした作品「苦悩は羅針盤」を完成させる。自身の服役生活を「長い人生の中では得だったのでは」という問いに対し、「(社会にいれば)たくさんの時間を創作に当てる時間はない。まだ活躍できる時にそういう経験できたのはすごくプラスになった。ただし入るべくして入ったというのもある」と、前向きに振り返っている。

■「気づく人」と「そうでない人」の決定的な差
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