■マイノリティの発信に対する「冷笑的な批判」
どこの政党にも所属しておらず、政治活動もしていない「普通の人」が、生活や子どもを大切に思う気持ちから発信した言葉。この波紋について、瀧波氏は次のように語った。
「女性や子育て中のお母さんが、自分たちの思っていることやあるあるなど訴えたいことをハッシュタグにするのは、Twitterが始まった頃からずっと続いている、ごくごく日常の中のこと。それを見た人たちも、私も一言言いたいとハッシュタグに乗せて何かを言っていく。その一連の流れの中の1つ。だから私も、全く批判的なことは何も思わないし、素晴らしいハッシュタグだと思う。『ママ』を主語にしていることによって、子どもに伝えているのが1発でわかる。言語センスがないと作れないハッシュタグで素晴らしいと思う」
一方で、この投稿に対して批判的な意見も巻き起こっている。その批判の根っこについてこう分析する。
「母親とか女性もそうだけど、要はマジョリティじゃない人たちが声を上げる時に叩かれるのは本当によくあること。サバルタン・. カウンター・パブリックという社会学の言葉があるけれども、そうした周辺化された存在の人たちが世の中を変えるために発信していく場を持つ。デジタル空間だとハッシュタグがそういう役割を持っていて、例えば、ミートゥー(#MeToo)運動もブラック・ライブズ・マター運動(#BlackLivesMatterや#BLMなど)もそう。そういうハッシュタグには今までも冷笑的な批判コメントがいっぱいついて叩かれてきた。それと同じことが起こっていると思う」
本来なら周囲が気づいて手を差し伸べるべきところを、当事者たちが傷つきながら主張しなければならない辛さもあるという。
「マジョリティはわざわざ団結してこうして言葉でつながっていく必要性がない。メインカルチャーの中で発信していくことが可能なので。だから、女性とかマイノリティの人たちが連帯して言葉を発している姿の意味がわからないのだと思う。何やっているんだと上から審査員的な立場でジャッジする、それはすごく簡単にできることだからやってしまっている。恥ずかしくないのかなと思ってしまう」
また、自然と湧き上がる言葉や、生活・子どもといった大切なことに対するハッシュタグは、政治家にとっても意味を持つはずだと指摘する。
「漠然とした不安とかじゃない。ちゃんと政治のことをチェックしている母親たちが、これは良くない、危ないと思っている。『血を流していただく』といった言葉もあって、そういう流れになっていると判断して声を上げているわけだし。例えば『保育園落ちた日本死ね!!!』も、それで保育園のことを変えていかなきゃいけない流れになった。最初からムーブメントにしようとは思っていないけれど、この声が広く届いたらいいなと思ってやっていることなので、そうした意味をちゃんと捉えてほしい」
さらに、SNSという気軽につぶやける場所での発信に対し、「気持ち悪い」などと強い感情をぶつける声もある。特に男性からの批判も多いという現状について、瀧波氏は苦言を呈する。
「『気持ち悪い』とか『センス悪い』は、大変感情的な言葉。批判をするのだったら、もっと丁寧にちゃんと伝えられる言葉でやってほしい。よく『男は論理的、女は感情的』と言われるが、それは全く信じるに値しない偏見だと思う。もし本当にそう思っているのだったら、ちゃんと理論的に説明してほしい」
(『わたしとニュース』より)
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