■「プレコン」とは?具体的な取り組みは?産婦人科医が解説

埼玉医科大学産婦人科医の高橋幸子助教
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 プレコンセプションケアとは、WHOが2012年に「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義したものだ。

 これが日本にも普及し、こども家庭庁は「性別を問わず、性・健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めた将来設計や将来の健康を考えて健康管理を行うこと」とまとめた。

 埼玉医科大学産婦人科医の高橋幸子助教は、この概念について「『プレ』というのが『〜よりも前の』で、『コンセプション』が『受胎・妊娠』などを表す言葉。『妊娠する前から健康に取り組もう』それが次の世代のベビーの健康と、産む・産まないに関わらず、今の若者の健康増進につながるというのがプレコンセプションケア」と説明する。

 アメリカで始まった際は、肥満体型の妊婦が出産するときのトラブルを減らすために、妊娠前に体調・体重を整えることが目的だった。

 一方、日本では「逆に痩せの妊婦さんの方が問題になっており、痩せている妊婦さんから生まれてきた赤ちゃんは、妊娠中に十分な妊婦さんの体重増加がないと、赤ちゃん自体の体重増加がなくて、小さく生まれてくる。小さく生まれた赤ちゃんが逆に肥満などの体型になってしまうことがある」という。

「日本でプレコンセプションケアと言った時には、肥満妊婦よりも痩せの妊婦さんに対するケアが必要だよねということが最初ではあった。妊娠前に痩せすぎも太りすぎも、生理が止まってしまって、生理が止まると妊娠しづらくなるというのがあるので、痩せすぎも太りすぎも良くないよということとか、妊娠を目指す前に予防接種をした方がいいですよとか、妊娠を目指す前に知っておいた方がいいことは結構あるんですよというのがプレコンセプションケア」(高橋氏、以下同)

 プレコンへの意識は、妊娠を希望する当事者を診る医療現場でも重要になっている。

「元々内科の疾患を持っている女性、例えば糖尿病だとか膠原病だとか、毎日薬を内服して生活している人の中に、『この薬は妊娠中は避けた方がいいタイプの薬』というのがあるので、妊娠を目指したいタイミングでは、薬の種類を変更しておくという対策ができる。でも、女性側は妊娠する・しないの話を内科の先生に相談すると思っていないので、医療側もプレコンセプションケアを意識して、妊娠を希望するような女性には、薬の種類を変更することを意識してほしいということで、そういった知識の普及が今広がっている最中」

 また、妊娠・出産を希望しない人にとっても、健康に関する知識を持っておくことは自分を守るために役立つという。

「そもそも産むか産まないかは個人の選択。SRHR= Sexual and Reproductive Health and Rightsに基づいて、産むにしろ産まないにしろ自分の選択ができるという保証の大前提、そして知識の大前提があった上で、プレコンセプションケアに入っていってほしい」

「産む前提で話しかけられたら…」子を持たない選択をした人のモヤモヤ
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