■専門家が指摘する「子どもの福祉」と倫理的障壁
一方で、日本学術会議の検討メンバーとして「原則禁止」を提言した産婦人科医の久具宏司氏は、懸念すべきリスクを冷静に指摘する。その最大の理由は、生まれた子どもが十分な医療や保護を受けられない事態への危惧だ。
「本来、依頼した夫婦は、健康な子どもを生んでもらうつもりだったのに、そうではない子どもが生まれることがある。それは『きっとあの女性が代理母になったせいだろう』と、責任を押し付けることも起こりうる」と久具氏は述べ、実際にアメリカやタイで起きた、障害を持った子どもの引き取り拒否問題を例に挙げた。
また、欧州諸国で禁止が目立つ理由として、「女性を10カ月間(出産のために)縛り付けるのは『これは女性を搾取していることになる』という、倫理的に許せないという論調がある」と説明する。男性が提供する「精子」とは異なり、女性の「子宮」を介する出産は、身体的・時間的拘束があまりにも大きく、それが道義的な搾取にあたるという考え方だ。
また別のケースとしては、代理母が出産後に「自分の子どもだから渡したくない」と受け渡しを拒否するトラブルも発生していることに触れた。これに対し、情報キュレーター・佐々木俊尚氏は「制度をきちんと作ってビジネス化させないようにする。引き取りの問題が起きないようにシステム化した方が、変に裏に回って闇取引などが起きないようになる」と、国内での法整備の必要性を訴えた。
(『ABEMA Prime』より)

