■「顔採用」「媚びている」実力すら否定される美貌の障壁
番組に登場した20代の奥峰さくらさんは、中学時代からその美しさゆえに異様にモテ始めた一方で、トラブルに見舞われてきた。アプローチしてきた男性の元彼女とそのグループから執拗ないじめを受け、「その人たちがグルになって、私の足を引っ掛けて転ばせた。そのケガは手術が必要なケロイドになって、直径5センチくらいの大きな跡になってしまって、今もちょっと残っている」と、一生消えない身体的・精神的な傷を負った過去を告白した。
苦難は社会に出てからも続く。起業や営業で実績を出しても、周囲からは「媚びているだけ」「顔採用」というレッテルを貼られ、実力を正当に評価されないという。さらに、経営者から2人きりの食事や旅行、さらには「間接キスを強要される」といったセクハラ被害にも直面しており、「本当に嫌になるくらい、自分が美人だということが障壁になる」と語った。
同様の苦悩は、別の当事者であるミドリ氏にも共通している。彼女は美しさゆえの生きづらさから逃れるため、「目を小さくしたりできないのかと調べたこともあった」と明かす。あえて化粧をやめ、眼鏡をかけて職場に行くなど、目立たない外見へと自らを“変装”させることで身を守ろうとしてきた彼女は、「普通かチョイブスの方が生きやすかったのではないか」と、ルッキズム社会への切実な違和感を口にした。
こうした現状に対し、容姿の悩みと心の健康を研究する東京未来大学教授の心理学者・大村美菜子氏は、容姿の良し悪しに関わらず、そのきっかけは常に「周りからの心ない言葉」にあると指摘する。「『かわいいからいいよね、楽で』というのも、容姿にまつわる周りからの心ない言葉」であり、社会全体が容姿への執着を変えていかない限り、この悩みは消えないと警鐘を鳴らした。
このルッキズムに関して、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は、独自の理論を展開する。「顔を出さない仕事なんか、いくらでもある」「他人がどう評価するかなんて、思い通りにならないのは当たり前」と語り、さらに「デメリットを受けたくないなら(髪を丸刈りにするなど)そういう生き方もある。それを選べばいい」と、環境や外見を自ら変える選択肢を提示した 。
これに対し、奥峰さんは「豪華な家を建てたら掃除が大変、固定資産税も大変という悩みをつぶやく人に対して、じゃあ豪邸を捨てろというのと一緒」と反論。自らの魅力を捨て去るのではなく、あくまで一人の人間としての尊厳や実力を認めてほしいと訴えた。また、美人が特別つらいと言いたいのではなく、「美人だから苦労なんてないだろう、苦労がないとされてしまう。共感してもらえる体験に恵まれづらい」ことこそが本質的な苦しみであると強調した。
■多様な美のあり方「午前0時のプリンセス」が示す可能性
