■なぜ20代の生活保護が増えた?
生活保護制度は、「資産や能力等すべてを活用しても、なお生活に困窮する者」を対象としている。「最低生活の保障」「自立の助長」を目的に行われる。手続きとしては、市区町村に申請→調査→支給開始の流れだ。保護費として「最低生活費−収入=差額」を支給し、受給世帯は約165万世帯(令和6年度被保護者調査)となっている。
TikTokなどで「生活保護おじさん」として知られる、生活困窮者の支援を行う「トイミッケ」代表理事の佐々木大志郎氏は、「若者の増加は当たり前だ。私たちも、緊急的に住まいを失った人を月30人、年間330人以上対応している。そのうち約5割が20〜30代で、助かるためにいろいろとやるが、最終的に頼りになるのは生活保護だ」と話す。
佐々木氏のところへ来るのは「家から出ざるを得なかった人。スキマバイトで1日8000円ほど稼いで、ネットカフェに泊まって、ご飯を食べて翌日また働く。その日々がぐるぐる回り、『もう無理』となってつながるパターンが多い」という。
また、「実家に帰るのが最大のセーフティーネットだが、だいたい帰れない。親も困窮していて、家庭環境も悪い。十分に訓練できず、社会に出た最初がブラック企業になると、メンタルを崩しても、実家に帰れずネットカフェへ。そこから転落していく人が多い」そうだ。
東京で1人暮らしをしているnodence(20代)さんは、新卒で就職するも、うつ病になり退職。生活保護を受け始めたという。「新卒1年目で怒られっぱなしで、『会社に行くのもつらい』となり、精神科へ行くと、うつ病と診断された。そのまま1年ほど休職したが、復職できずに退職となり、生活保護に頼った」と振り返る。
受給にあたっては「ひろゆき氏らの発信もあり、生活保護の制度を知った。そうした後押しで、まず相談してみた」のだという。「市役所で1回目は相談、2回目で申請。貯金や通帳は見せたが、家族について強く聞かれることはなかった」。
生活保護うさぎさん(関西在住・20代)は生活保護とアルバイトの収入で、1人暮らしをしている。「大学生で病気を発症し、ギリギリ卒業できたが、内定していた会社を辞退した。実家に戻りアルバイトで生活していたが、体調が本格的に悪化。お金が尽きて、親からの支援も受けられなかったため、役所で話したら『実家を出て生活保護を受けて』と言われた」。
制度を知った経緯は「SNSでやりとりしていた同じ病気を持つ人が、生活保護を受けていた」こと。「市役所から『診断書を出して』とは言われず、障害者手帳でスムーズに話が進んだ」のだそうだ。
現在の暮らしは「週2、3回、短時間アルバイトして、生活保護を受けつつ、食費は1日約1500円、昼食抜きで生活している。支給額は障害者加算が2万円弱ついて、約13万円。手取りとしては3万円も増えていない」という。
■生活保護から抜け出すことの難しさ
