■「母子生活支援施設はDV被害者専門の施設ではない」加害者の執着と被害者保護の難しさ
事件の現場となった母子生活支援施設とはどのような場所なのか。ジェンダー論が専門でDV問題にも詳しい中央学院大学の皆川満寿美准教授によると「母子生活支援施設はDV防止法による被害者保護支援施設の1つ。ただしDV被害者専門の施設ではない。厚労省が作っているガイドブックには当然『DV加害者に知られないように配慮を徹底』とあるので、加害者に関して敏感になっていないわけではない」という。
その上で「3年も加害者と同居していたことに驚いている。執着するのがDV加害者。被害について知っている人はそう思う。ここまで執着してしまうという。経緯についてしっかり検証されるべき」と指摘する。
この施設のあり方について、犬山氏は次のように語る。
「今出ている情報の中ではっきりしたことは言えないが、施設を『携帯の持ち込みはダメ』とガチガチにやるべきなのかどうかはすごく難しいところ。シェルターのような場合は、スマホもダメ、場所も絶対に明かさないところもある。それに対して、こういう場所は、例えば仕事を続けながらなど、もう少し自由度の高いところでニーズがあると思う」
「本当に難しいと思いつつ、DV関係にあったということを聞けば、潜伏していたことに対してもさほど驚きはなくなっている。それはDVの性質として執着されるし、共依存のような関係にもなってしまう。私たちはそこをちゃんと知った上で、どうやって共依存の関係にある被害者を守っていくのか、保護するのか。すごく難しく繊細な問題なので、そこは心理士と密接にやっていく必要があるのではないか」
逮捕された母親は、長女、次女とともに3人で施設に入った直後あたりから逮捕された内縁の夫と復縁したのではないかともされ、2人は主従関係にあったという見方もある。ガイドラインや法律を超えた人間同士の関係の難しさが浮き彫りとなっている。
「マインドコントロール下にあるとなると、側から見て『何でそっちに行くの?』という方向にいくこともあり得る。そこまでちゃんとわかった上での、周りの目線(保護)も必要だと思う」(犬山氏)
(『わたしとニュース』より)
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