■9年ぶりの訪中、トランプ氏の狙いは
今回の訪中において特徴的なのは、テスラのイーロン・マスク氏やエヌビディアのジェンスン・フアン氏をはじめ、米大企業のトップ16人が同行している点だ。この顔ぶれについて、キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司氏は次のように分析する。
「今回、トランプ氏の目的はただ1つ、できるだけ中国にアメリカの製品を買ってもらうこと。だからこそ、これだけの経済団を連れていった。トランプ氏の支持率が相当下がっている中、とにかく何かやっているという成果を出したい。中国にたくさん買ってもらったという絵を出したがっている」。
これに対し、ひろゆき氏はアメリカ国民の反応について「中国がテスラの自動車を何台買うと言ったところで、アメリカ国民が喜んで支持率が上がるとは思えない。何かそれなりに大きな約束をして帰るつもりではいると思うが」と疑問を呈した。
特に注目されるのが、当初は同行予定がなかったとされるエヌビディアのジェンスン・フアン氏の参加だ。経済安全保障に詳しい井形彬氏は、半導体輸出規制の観点からその意図を読み解く。
「最先端ではなくても、2番目くらいに新しい半導体を売るとなれば、バイデン政権の政策からかなり踏み込んだ形になる。ただし、最先端のものを作れる半導体の製造装置に関しては、引き続き貿易をさせない、輸出させない、投資規制を入れることで止めていく。釣ってきた魚はあげるが、魚の釣り方は教えないようなやり方で、ちゃんとアメリカ儲かっていると見せつつ、安全保障上のレッドラインを越えるようなことはさせないバランスを取ろうとしている」。
経済と安全保障が交差するAI分野も大きな議題となる。米アンソロピック社のAI最新モデル「ミュトス」が中国に半年から1年で追いつかれるという懸念がある中、米中2国間での協議が進む可能性が指摘されている。井形氏は、この対話の危うさについて言及する。
「今、AIで一番進んでいる国は圧倒的にアメリカ。中国と対話が始まること自体は悪くないが、そこに日本やヨーロッパが入ってこない。他の国は全部排除されるとなると問題だ」。
■台湾問題を巡る「密約」の懸念とレッドライン
