しかし2020年、新型コロナの影響で『地球の歩き方』の売り上げは95%も減少し、経営危機に瀕した。追い詰められた編集部が出した、起死回生の一手。それが「国内版」だった。
狙いは、東京五輪。「全国から訪れる人に、東京を歩いてもらおう」。しかし、東京五輪はコロナで延期。それでも、出さないことには売り上げにはならない。
「情報は出した途端に古くなる。1年も寝かせられない。2020年9月に五輪はないけれども。こんな時にお出かけ本を出してひんしゅくを買うのではないかと思い、大して宣伝もせずにおずおずと出してみたらヒットした。私たち自身も本当に驚きの結果だった」(由良暁世編集長)
『地球の歩き方 東京』は初版2週間で完売。最終的には10万部超え。しかし、売れたその本に対して編集部に届いた意外な声があった。「東京版を読んだけど、なんで多摩をちゃんと取り上げてくれないんだ」。
国内版2冊目は『地球の歩き方 東京 多摩地域』。読者の声を信じた一手は再び当たった。ここから、編集部の快進撃が始まる。
『京都』『沖縄』『愛知』、広域版として『みちのく』『東京の島々』。さらにはもっと狭く『北九州市』『山口市』『調布市』など、地球の歩き方は日本の地図を塗りつぶしていった。
さらには47都道府県を1冊にまとめた『日本』も制作。1000ページ超、重さは1キロ以上。これも13万部のヒットとなった。
「これを持って実際旅しているとは思えないので。旅事典のような形で使ってくれているのかなと。『コロナが落ち着いたらどこに行こうかな』『昔ここに行ったね』とか、会話のきっかけを生む1冊でもあったのかなと」(由良編集長)
『ジョジョの奇妙な冒険』『宇宙兄弟』など他社キャラクターとのコラボも新たな話題作となりヒット。さらにカレー、トラベルポーチ、カプセルトイなど本を飛び越えグッズにまで、世界が広がっていった。
なぜここまで国内版に振り切れたのか
