2024年10月に19歳でプロ入りを果たした新鋭が、新たな舞台で異彩を放とうとしている。将棋の早指し団体戦『JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026』に参戦する中国・四国ナヴィセトスの吉池隆真四段(21)だ。デビューから1年半で棋戦優勝1回、通算勝率7割超という見事な成績を残しているが、その根底にはある一つの戦法への愛と、立ちはだかったライバルとの物語があった。
吉池四段の代名詞といえば、居飛車の陣形ながら玉を右に囲う戦法「右玉」だ。他の戦法と比べて定跡が整備されていないこの形に小学校低学年で出会うと、「あまりない作戦で、勝つのがすごい嬉しかった」と魅了され、奨励会時代には対局の約9割で採用。相手がAIを駆使して対策を練ってくることを承知の上で、「AIを抜けた先がある。経験値の差で最後は自分が抜け出せる」と絶対の自信を持っていた。
しかし、その右玉一筋の運命を変える出来事が起きる。三段時代に進出した若手棋戦・加古川青流戦の決勝。待ち受けていたのは、プライベートでも親交が深く、頻繁に練習将棋を指す1学年下の藤本渚七段(20)だった。
「そもそもコンスタントに当たれるようなところに行かないといけない。相当意識している」
