■「マンションの一室」でバイト医が処方する利益構造
美容目的での処方が横行する背景には、オンライン診療を利用したビジネス構造が存在する。高須クリニック名古屋院院長の高須幹弥氏は、マンジャロが専門医でなくても処方可能であり、処方する側にとって高い利益が見込める商材になっていると指摘した。マンジャロは週1回投与で月額1~3万円とされている。
高須氏は、新型コロナウイルス禍を機に解禁されたオンライン診療のシステムが、現在の事態を招く一因になったと説明する。
「医師ではない人がオンライン診療の業界に入ってきて、研修医が終わってすぐの『直ニート医』や『直バイト医』といった医師でも処方できてしまう。バイト医はだいたい時給1万円ほどで雇えるため、医者ではない業界の人が彼らを雇い、マンションの一室などでオンラインで診察をして薬を送れば、非常にお金が儲かるシステムになっている」。
さらに高須氏は、町の内科や皮膚科といった開業医であっても、保険診療だけでは経営が成り立たない現状があるとし、「マンジャロだったら軽い問診で簡単に出せてしまう。専門医でなくても、ニート医でもバイト医でも誰でも出せる」と、医療現場の利益偏重の姿勢に強い懸念を示した。
実際にマンジャロをダイエット目的で使用した当事者たちの証言からも、入手へのハードルの低さが浮き彫りとなっている。マンジャロを使用して3カ月で10キロの減量をしたキャバクラ嬢・みらのさんは、ネット検索を通じて安易に処方を受けられた実態を明かした。
「ネットで『マンジャロ 購入できるクリニック』と検索して出てきたクリニックを利用した。オンライン診療がある病院で、ビデオ電話の対面で話を聞いてもらって処方してもらう。糖尿病という診察ではなく、あくまでダイエット目的として購入した」。
一方、過去にマンジャロを使用していたキャバクラ嬢・まりあさんは、手軽に手に入るが故の過剰摂取のリスクについて語った。まりあさんは、徐々に薬の耐性がついて効かなくなった結果、外出先で自己判断により規定量を超える量を打ってしまったという。
「(過剰に打ってしまったことで)迷走神経反射的なものが体に起き、この先使い続けたら良くないなと気づいた。マンジャロの急性膵炎などのリスクも公になってきたため、未来の健康リスクを考えて使用はやめていく方向だ」。
本来、マンジャロの処方上限は15ミリと規定されているが、マリアさんは当時「20ミリ」の量を一気に打ってしまったと告白した。「当時は大量に購入ができた」と振り返り、適切な用量管理や指導が行われていない販売実態が明らかとなった。
■ずさんな処方と医師の「裁量権」
