
三重県の新名神高速でトラックが乗用車に衝突し、6人が死亡した事故。10日、過失運転致死の罪に問われている運転手の女の初公判が行われました。

3連休初日の3月20日午前2時20分、新名神高速。
単身赴任をしながら、埼玉県の福祉施設に勤めていた高峰啓三さん(56)は、車を一人走らせ、家族が待つ兵庫県に帰省する最中でした。

もう一台の車に乗っていたのは、静岡県袋井市で暮らしていた松本幸司さん(45)、恵梨子さん(42)、莉桜さん(11)、壮真さん(8)、彩那ちゃん(5)。家族で関西を観光する予定で、USJに行くのを楽しみにしていたといいます。

しかし、その日常は突然、途切れます。
大型トラックが、松本さん家族の乗る車に追突。そのはずみで前にいた高峰さんの車も巻き込まれ、6人が亡くなりました。

トラックのハンドルを握っていたのは、水谷水都代被告(54)。

10日、法廷で明かされたのは、水谷被告が日常的に行っていたとされる“ながら運転”でした。検察側は、事故直前も“ながら運転”をしていたと指摘しました。
検察側
「被告人は、日常的にダッシュボードのスマホホルダーにスマホを置き、SNSの動画を見ながら運転していた。事故の直前は、『TikTok』で料理動画を見ていて、スクリーンショットを撮影しようと、約13秒間、わき見をしながら、時速82キロで運転していた」
一方、弁護側は、冒頭陳述を行わず、水谷被告は起訴内容を認めました。
被害者参加制度を使い、初公判を傍聴したそれぞれの遺族は、コメントを寄せています。

高峰啓三の遺族
「高峰啓三は、私たちにとって、とても大切なかけがえのない夫であり、父でした。啓三は、長年にわたり、地元で女子小学生にバレーボールの指導を行っており、3連休も、その指導や練習試合を行う予定でした。また、指導者仲間と一緒に、我が家で食事会をする予定にもしており、それを楽しみにもしていました。啓三や私たちにとっては、ごく普通の3連休となるはずでしたが、被告人の無責任な運転のために、すべて壊されてしまいました。バレーボールの練習には、いつも通り、私が作った弁当を持っていくはずで、すでに準備していましたが、啓三がそれを食べることもありませんでした」
事故の原因となった“ながら運転”について。
高峰啓三の遺族
「およそ大型トラックのプロドライバーが行う運転とは思えない。無責任極まりないものだと感じています。このような無責任な運転によって、大切な夫、父を亡くしたことは本当に悔しく、被告人に対しては怒り、憤りしか感じません。これは単なる『事故』という言葉ですまされるものではなく、自動車を使った『殺人』であると強く感じています。啓三をはじめ、6人もの命を奪った『殺人』です」
今回の“ながら運転”で問われているのは、刑罰の重い危険運転致死罪ではなく、過失運転致死罪です。一家5人を亡くした松本さんの遺族も、初公判を機に家族写真を報道機関に提供しました。

松本さん一家の遺族
「写真については、これまで公開を差し控えてきました。その理由は、被害者側であるにもかかわらず、興味本位でさらし物のように扱われることへの懸念、子どもたちの友人たちに対する影響を避けたいという思いからでした。実際、取材を避けていただきたいというお願いをさせていただいたにもかかわらず、葬儀に乗り込んで来られたり、無断で公道からカメラを向けられることもありました。社会的影響が大きい事故だけに、視聴率稼ぎとも思われる取材をされたことは、いまでも残念な気持ちです」
それでも、遺族は写真提供を決めました。子どもの七五三の写真ではないかといいます。ただ、家族5人が亡くなったいま、それを確かめる術はありません。
「二度と同じような事故が起きてほしくない」その願いが写真を提供した理由です。

松本さん一家の遺族
「一方で、社会として事実を受け止めて、このような交通事故を根絶したいという思いを持ちながら、取材を行われているマスコミもあります。私たち遺族としても、このような悲惨な事故が起きないことを強く望みます。この事故をきっかけとして、運転中の携帯使用に関する厳罰化等の法改正も含めた検討をしていただきたいと考えております。社会が何も変わらなければ、6人の命が無駄になりかねません。どのような家族が亡くなってしまったのかを、リアリティをもって報道していただくことも必要かと考えます。社会がよい方向に変わるように期待をもって、亡くなった家族の写真を提供させていただきます」
