■認知症の祖母から暴力…
超高齢化社会を迎え、介護を巡る環境は厳しさを増している。ある調査では、ここ30年ほどの間で、介護疲れによる殺人事件や心中事件が毎年30件から40件程度発生している。「約10日に1件」のペースで起きている計算になる。
在宅介護の問題点は、その実態が外部から見えにくく、外の目が当たらず家族全員が疲弊していく構造がある。メモリークリニックお茶の水院長で認知症専門医の朝田隆氏によれば、「認知症の行動・心理症状(BPSD)による暴言や暴力は、介護者にとって多大なストレスで、家族のトラウマとなる」という。
番組では、実際に介護を経験した当事者たちからリアルな実態が語られた。25歳から7年間にわたり、認知症の祖父母を在宅介護した経験を持つ漫画家でライターの青山ゆずこ氏は、当時の壮絶な状況を明かした。「寝ている時に静かに服と布団を奪われて追い剥ぎに遭うような形だったり、生ゴミが部屋に捨てられたりした。おばあちゃんがパニック状態になると、10発、20発、30発と殴られて、(祖父母の手を止めて)なんとか止められたという状態だった」と振り返る。
そのような暴力を受けながらも、青山氏はSOSを出すことができなかったという。「やり返しちゃ絶対にいけないし、私が我慢すれば済むのではないかと、なぜか自己犠牲のほうに走った。家族だから相談できないし、現実を突きつけたくないという思いで、SOSを出すのが遅くなってしまった」と、当事者特有の葛藤を吐露した。また、「母にとったら自分の母親が孫に手を上げるのは悲しいだろうと思って我慢してしまった」と、家族を慮るゆえに孤立を深めていった経緯を語った。
一方で、歌舞伎町ゲイバー「CRAZE」店員・カマたく氏は、自身の祖母の介護を経験したことを著書にもしているが、早い段階で施設入所を選択した立場から疑問を呈した。「うちは『みんなやってるよね、施設に入れよう』という感じだったから、早い段階で施設に入れるという道ができた。在宅介護は無理だった」と指摘。その上で、「なぜ日本人は、施設に入れたら謎の罪悪感を持つのか。自分の人生もあるし、家族の人生もある。もちろんお金がなくて預けられないこともあるが、世間体だけで家族だけでなんとかしようとし、恥のように隠す。がんになったら病院に行くのに、なぜ認知症だけそういう扱いなのか。専門医に行って専門のところに預けるのが当たり前なのに」と主張した。
■介護がきっかけで親族も不和に
