
6月10日は「時の記念日」だったが、情報過多の現代、時間に追われる人が増えているという。番組では、都内で開かれている“自分の時間”を見つめ直すイベントを取材した。
時間を体感するイベント
東京・銀座で開催されているのは、時間にまつわる歴史を学べたり、時間を体感したりできるイベントだ。
スタッフ
「時間感覚を測るスペースになります」
こちらのブースでは、自分の腕を時計の針に見立て、15秒で1周させ、時間の感覚を体感してもらうという。
駒見直音アナウンサーが早速チャレンジ。日々ニュース原稿を読む際、秒単位の正確さを求められる駒見アナ。注目のタイムは…およそ18秒。実際に比較すると、だいぶ遅れている。
挑戦した来場者(60代)
「妻の15秒感覚の半分のスピードです。日頃(妻と)意見が合わないというかズレるところがあるんですけど、まさにそれが出ていました」
挑戦した来場者(20代)
「いろいろな視点で時間を思い返す、自分の生活を振り返るいい機会になったかなと思います」
時間との向き合い方が変化
日本人の時間との向き合い方。それは時代とともに変わってきた。
日本では671年、天智天皇の時代に水時計が使用され、初めて人々に「時間」が知らされたという。
「日本書紀」に記されたこの記録が今の暦で6月10日にあたることから、近代化が進む1920年、大正9年に「時の記念日」に制定された。
そして、昭和に入るとこのようなアナウンスがあった。
「今年もやってきた『時の記念日』。毎日毎日、金を追って時間に追いかけられるサラリーマン生活。遅刻しないことが出世の近道ともなれば、早起きは三文の徳で、これこそ時は金なり」
平成元年には「24時間タタカエマスカ」というキャッチコピーが流行語に。さらに令和の今、街の人は自分の時間とどう向き合っているのか。
不動産関係(20代)
「自分の時間は大事にしています。自分と同世代はタイパ(時間対効果)などと言ったりしますが、自分のスキルを伸ばすためには時間は必要だし、休みは仕事はしていないけど仕事につながることはよくやっています」
会社員(20代)
「人とコミュニケーションとるのは好きなんですけど、1人で無になる時間も必要かな。日曜日は絶対に家を出ないです。メンタルを整えるために」
会社員(40代)
「最近、同僚がエンディングノートを書いて『自分のこれからを見つめている』という話は聞いてますね。今は子どもたちのことで精いっぱいで…」
「メンパ」が注目
時間以外にも、現代人の考え方に変化があるようだ。
消費行動の中で、費用対効果を表現する「コストパフォーマンス」の「コスパ」や、時間対効果を表現する「タイムパフォーマンス」の「タイパ」という言葉は聞いたことがあるだろう。
しかし、経済ジャーナリストの渋谷和宏さんは「効率化を優先しすぎで“選択する”ことに疲れが見え始めている」と指摘している。
そこで、いま第3の消費トレンドとして「メンパ」が注目されている。
「メンパ」とは「メンタルパフォーマンス」のこと。消費などの行動や選択において心理的負荷を減らすことを最優先にする考え方を指す。
心理的負荷とは、例えば買い物時に商品を「選択」することに対し、心理的ストレスや疲れを感じてしまうことなどが該当する。
実際、マーケティング会社エクスクリエの調査では、買い物の際に「選択疲れ」を経験した人は46.5%に上る。
その理由として、「購入後に失敗や後悔をしたくない」という人が41.9%と、物を選ぶことがストレスになっているというのが分かる。
商品の選択との向き合い方
こうした背景に渋谷さんは、「AIやSNSの普及で情報量や選択肢が増えたことで、選ぶことにエネルギーの負荷がかかっている」と指摘する。さらに、「コスパやタイパの良い物を探しすぎるあまり、その結果“選択疲れ”が見えているのでは」と分析している。
こうした中、「メンパ」需要を意識したビジネスモデルも続々と誕生している。
例えば、食事の定期配達サブスクがある。
あらかじめ決められたメニューの中から好きなものを登録しておくと、定期的に弁当が届けられるサービスで、買い物の手間を省きながら、献立に悩まずに食事を摂ることができるのが人気の理由となっている。
アマゾンやヤフーショッピングなどの大手ECサイトでは、AIエージェントを採用し、ユーザーの状況や好みを文脈として理解することで、最適な商品を表示してくれる。
例えば「来週の旅行に着ていける夏服」などと入力すると、条件に合う商品を提案してくれる。
ますます情報過多となっていく時代だが、今後、商品の選択とどう向き合えばいいのだろうか。
渋谷さんは「日用品などの購入はAIでルーティンにしてもよいが、大事なものはAIに全面的に頼るのではなく無数にある選択肢から絞り込んでもらい、最終的には自分の責任で決断するという“すみ分け”が重要」だとしている。
(2026年6月11日放送分より)
この記事の画像一覧
