■AI台頭で大手コンサル会社が業績アップ
市場全体を見渡すと、国内のコンサルティング業界の規模は従業員数・市場規模ともに年々拡大している。番組内で紹介された「東大生の主な就職先(2025年卒)」のデータによれば、アクセンチュアやマッキンゼー・アンド・カンパニー、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなど、上位20社中7社をコンサル企業が占めており、学生からの人気は極めて高い。
しかし、好調な市場の裏で、業界内部では大きな構造変化が起きている。経営コンサルタントの日沖健氏は、現在の大手コンサルのビジネスモデルについて「パートナーと言われる上層部の人が営業し、プロジェクトはマネージャーが回す。そして、リサーチャーと言われる下っ端が調査を行っている」と、明確な階層に分かれたピラミッド型の構造を説明。その上で、「現在アメリカなどでは、ものすごい勢いで調査業務などがAIに置き換わっており、1万人規模のリストラが行われている」と指摘し、AIの導入が「下働き」の需要を消滅させつつある現状を語った。
日沖氏はこのAIによる業務代替が、逆にコンサル業界全体の市場規模をさらに爆発的に押し上げると予測している。「リストラで下っ端を減らせばコストが下がるため、現在は数千万円、何億円もするようなコンサルティングが劇的に安くなる。そうなれば、今までは金満企業やコスト意識の低い自治体しか使っていなかったところ、高額だから使えないという中堅・中小企業も利用するようになり、大手コンサルは数倍、数十倍の規模に成長する」とその見立てを語った。一方で、これから入社する若手に対しては、「下っ端のリサーチャーはこれから大リストラされる。東大生が新卒で入ってもたぶん活躍の場はない。コンサルに行くなら、中途で営業するシニアやマネージャーとして入る方が有望だ」と現実を突きつけた。
リディラバ代表・安部敏樹氏もこの意見に同調し、現在のビジネス領域が「総合格闘技戦」になっていると指摘。「テレビ局には広告代理店が出入りし、それぞれの強みで入ってきている。コンサルやSIer、デザインファーム、エンジニアまで、いろいろな業種が入り込んで誰が勝つかという異種格闘技戦になっている」と現状を分析。「複雑性が高い仕事には能力の高い人が必要になる。この異種格闘技戦は経験がものを言うため、若手が経験を積めなくなると、シニア層がAIを使いまくって無双する世界が来る」と述べた。
さらに安部氏は、中国のIT企業の事例を挙げ、「今は出世すると部下が増えるのではなく、AIを使える『トークン(利用枠)』が多くもらえるというインセンティブに変わっている。部下を増やすより、トークンをいっぱい使ってより大きな仕事ができるポジションに行きたいという風になっている」と、大量の部下をマネジメントする従来型の出世モデルが崩壊しつつある実態を明かした。
■ベテランが活躍、若手が学ぶ場が減少
