いざ対局が始まると、羽生九段は100bpm、谷川十七世名人は104bpmからのスタートとなった。両者とも表面上は平静を保っているように見えたが、対局開始前に持ち時間を競りにかける今大会からの新ルール「先手番入札制度」と、持ち時間5分・1手5秒加算という過酷なフィッシャールールが対局者を容赦なく追い詰めていく。時間が切迫する中で両者の心拍数にも次第に変化が現れ始め、特に羽生九段の数値はぐんぐん上昇し、勝負所に差し掛かるとついに140bpmを超えていった。
この緊迫した状況を、控え室から誰よりもわくわくした表情で見守っていたのが藤井竜王・名人だ。ファンと同様に興味津々でモニターへ熱視線を送っていた絶対的エースは、指揮官の心拍数が146bpmをマークすると「上がってますね」と満面の笑みを浮かべた。
「楽しそうでなにより」「聡太さんニコニコしてかわいいわ」
