24時間いつでも稼働し、指示を出せば一瞬で成果物を返してくるAIの処理能力は、これまでの人間の部下とは根本的に異なる。その圧倒的なスピード感と常に向き合い続けることは、人間にこれまでにない強烈な負荷をもたらすこともある。
AIと向き合うことで生じる”仕事の疲労感”について、「AIとどっぷり向き合っていると、すごく優秀な部下がいっぱいできたようなものだから、スピードも早い。その分、自分の頭がすごく疲れる」と明かした。「これまでも優秀なエンジニアや部下たちが『じゃあやります』と言ってくれるけど、その人たちだって、寝たり家族と雑談したり、食事をしたりして、働かない時間もたくさんある。ただAIは、ずっと仕事を続けて『はい、できました。次、何しますか?』と来る。だから、ものすごく疲れる」と語った。この疲労への対策として、「午前は、AIと向き合って仕事をするけど、午後は多くの人と会って、人との接点を増やすことを強化していこうと思う」という自身の新しいワークスタイルについても触れた。
AIの能力向上は、これまでの企業のあり方や組織の構築プロセスをも根底から変えつつある。数万人規模のヒエラルキー組織を率いてきた従来の経営スタイルは、もはや過去のものになりつつあるという。
これからの組織のあり方や、会長退任後の新たな起業プロセスに関しては、「これまではLINEヤフーに部下が1万人いたわけだが、このようなヒエラルキー組織をまた構築するかと言われると、AIの性能を見る限り、そういうことではない。だけど、人は相変わらず欲を持って何かしたいとか、面白い考えを持った人たちが、世の中に”点在”している。そういう人たちといかに接点を持って、世の中の課題感や目的感に転化していけるかをやるべき。だから、『オーガニゼーション(組織)からネットワークに』という感じで、人との接点を作りたい」との方針を示した。
スタートアップが立ち上がるプロセスについても変化があるとして、「これまでは人にたくさん会って、『一緒に起業しよう』とか『うちに来ないか?』と口説くところから始めるわけだが、今は一切ない。AIと部署を作っているだけ」と語り、自身も新しい起業の形に挑んでいるという。
AIが人間の作業を代替することで、人類にはこれまでにない「余白の時間」が生まれることになる。しかし、その時間をどのように使うかによって、人々の生き方は二分されていくという予測が示された。「AIに作業的なものを任せられるようになるので、時間ができる。その上で、人はどちらか選択をすることになると思う。一つは空いた時間を、趣味や人間関係に使うタイプ。もう一つは、超優秀な指示待ち族が”これもできる、あれもできる”と待っているわけだから、もっと仕事をするタイプ。これで二分する」.
最後に、AI社会にのめり込むリスクに警鐘を鳴らした。「僕の場合は空いた時間を、AIに再投資しないようにセルフコントロールしている。こういったことを言うのは初めてだけど、どんどんAIにハマっていくと、最後は頭を壊して疲れ切ってしまう。そんな人が出てきちゃうかもしれない」と述べていた。
(ABEMA『ふたりぼっちのアベプラ』より)
