■ワールドカップにベッティング 全世界で9兆円規模
アメリカ在住のプロポーカープレーヤーで、ワールドカップのスポーツベッティングを今まさに楽しんでいるというトシさんは、その魅力についてこう語る。「お金を賭けている方が楽しい。興奮度が上がる」。自身の賭け方については、「ほとんどが勝ち負け。野球であれば、試合の途中で応援する選手が『調子が悪いな』と思ったら、逆に相手チームに100ドルを賭けてみることがある」と、試合中でも賭けられるシステム(インプレーベッティング)について触れた。勝率については「遊びなので、はっきり言ってあまり勝てていない」と笑い飛ばした。
スポーツライターの小林信也氏は、スポーツベッティングが盛り上がる理由として、競技への入り込み方の変化を挙げる。「競馬に賭けないで見る人と賭けて見る人では、全然盛り上がりが違う。また、野球を知っている人ならば単にお金を儲けるというよりは、『自分は野球を知っている』という自尊心を満たせるし、そのために深く競技を知ろうとする」と述べる。また、インプレーベッティングが大きな魅力だとし、「日本の法律では、試合が始まる前に賭けるという制度。その壁を突破できるかどうかが今、大きな課題」と語る。
EXIT・兼近大樹は「お金を賭けると全く違う楽しみ方になる。お金を賭けない状態で推し選手を見て盛り上がれる人はそのままだが、別のところから(新規のファンが)入ってきてくれるので、より裾野が大きくなるという意味ではいいと思う」と一定の意義を認めた。
また小林氏はスポーツベッティング解禁の意義を、競技振興の財源という観点から強調する。「残念ながら日本はスポーツにお金を出してくれない国。国家予算は360億円ぐらいしかない。それに比べて今、日本人が海外のスポーツベッティングに違法に賭けている金額は6兆5000億円もある」と訴える。さらに「日本のスポーツくじは現在1300億円ぐらいで、そのうち15%がスポーツ振興に充てられている。もっと自前でスポーツ財源を作らないといけない」とも述べ、部活の地域移行や指導員の報酬など、予算不足が山積する課題解決の手段として位置づける。
これに対し、パックンは「トシさんは幸せになっていると思うが、不幸になっている人が山ほどいる」と異を唱える。アメリカでスポーツベッティングが普及した背景として最高裁判決による合法化とスマートフォンの普及を挙げつつ、「24時間どこでも手元で賭けられるようになって、依存性を煽るメカニズムがものすごく巧み。最初はログインするだけで5万円、10万円と賭けていいスタート金がついてくる。それで勝ってやめればいいが、みんなハマってしまって家族や仕事がおろそかになって社会問題になっている」と語る。
さらに、反対派の割合についても「スポーツベッティングが普及する数年前には3割台だったが、それが10ポイント以上も上がっている。良くないと思う方が増えている」と述べた。
トシさん自身もデメリットを認める。「クレジットカードで入金するので、結局これは借金で賭けていることになる。サラリーマンがトイレやタバコ休憩にスマホで賭けたり、若年層が勝つための研究に膨大な時間を使ったりしている。大事な時間を社会から取り上げてしまっている」と語った。
■スポーツベッティングのメリット・デメリット 八百長の問題も
