■日本でも避暑を求めて移住「子どもが外に出られない環境はいかがなものか」
地球温暖化の根本原因に関する議論が続く一方で、すでに生活の現場には耐えがたい暑さの影響が及んでおり、環境変化に身をもって対応する「適応」の動きが始まっている。その具体的な事例として、2年前に夏の酷暑を理由に千葉県から北海道へ家族で移住した三須雄介さんが、地方移住に至った切実なきっかけを明かした。
三須さんは子どもが生まれたことを機に移住を決意した。首都圏の夏は、ベビーカーを押すことすら地表面からの熱で危険視され、公園に遊びに行っても遊具が熱すぎて子どもがやけどをしてしまうため遊ばせることができない現状を指摘。「子どもが外に出られない期間が年に3カ月も続く環境はいかがなものかと考えた。寒さであれば厚着をすれば外出できるし、北海道には雪を利用したウィンタースポーツもあるが、首都圏の夏は裸になっても暑い」と語り、暑さから逃れることが最善の選択であったと振り返る。
さらに三須さんは、移住後の実感として「同じ気温であっても東京と北海道では湿度が全く異なる。北海道は湿度が低いために汗をかきにくく、脱水症状の心配をせずに子どもを外で遊ばせることができる。雪によるデメリットよりも、暑さによるデメリットの方が遥かに大きく上回っていたため、移住して非常に良かった」と語り、気候変動を前提とした具体的な生活防衛策としての移住による生活改善の実感を述べた。
今後の気候変動へのアプローチについては、温室効果ガスの排出を抑える「緩和」と、変容した気候と共に生きる「適応」のバランス、そしてエネルギー政策の構造転換をどう進めるかが議論の焦点となった。
シナモンAI代表取締役社長・平野未来氏は、「再生可能エネルギーの推進などカーボンを減らす『緩和』の取り組みも重要だが、気候変動がすでに避けられない現実である以上、干ばつに強い農作物の開発など、気候変動と共に生きるための『適応』にもっと力を入れるべきではないか」との見解を示した。
この指摘に対し、江守氏は「適応は極めて重要だが、温暖化がこのまま進み続ければいずれ適応にも限界が訪れ、深刻な被害が生じる」と応じ、やはり温暖化そのものを止めるための「緩和」が不可欠であると説く。現在の気候科学のコンセンサスでは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすれば気温上昇を止めることができるとされており、国際交渉でも、一度目標温度を超えた後にCO2を回収・除去して気温を下げる「オーバーシュート」の議論が始まっているという。大気中から大規模にCO2を回収し地中に封じ込める工学的方法について、松田氏は「二酸化炭素を地中に埋めるために膨大なエネルギーを消費し、その過程で再びCO2を排出することになるのではないか」と、技術的な矛盾や費用対効果の側面から疑問を投げかけていた。
(『ABEMA Prime』より)

