■「いつもありがとうございます」に透ける店側の意図
サービス現場での店員と客のコミュニケーションについて詳しい山内氏は、店員の声掛けに関して次のように分析する。
「知っている人が来た時には『いつもありがとうございます』とお声がけしましょうと、企業側もそれが望ましいとして、その意図が客側にもわかってしまっている。つまり丁寧に応対することで、例えば買い物であれば『買い物してほしい』という意図が見えてしまっている問題はあると思う」(山内氏、以下同)
こうした店員の声がけでモヤモヤが生じる背景には、日本独特のサービス文化の事情があるという。
「日本のサービスはかなりフォーマルに、正しくするみたいなところを非常にこだわってやっていると思う。それが良い時には『サービスが良い』と評価されることになるが、一方でそれが少し過剰になると人間味がないというか、ちょっと距離をとった感じに感じてしまう」
では、店員はどのように客に接すれば良いのか。
「(客側が)本当に助けてほしい場合もある。一方で、もう少し自由にしたいという場合もある。だから必ずしも声をかけて、かけたことが良い・悪いではなくて、そこでまた“あうんの呼吸”で交渉が始まるみたいな感じ。話しかけることが大事なのではなくて、話しかけても良い状況を作るというか、例えば特定の商品に関して『ここがこうですね』みたいな会話をする、『その状況であれば話しかけても良いだろう』というような状況をまず作ることが、多分店員にとっては重要になると思う」
「だから(明確な接客の)答えはない。人によって違うし。その中でやっぱり微妙な距離感を感じ取って、『このお客さんはちょっと距離をとった方が良い』とか『このお客さんはもう少し親しくした方が良い』というのをサービスをする人が感じ取って対応していることだと思う」
「サービスは相手が何を考えているかわからない。ただ、その中でどうやって“探り合い”をするか、そういう交渉をするか。それがただ単に声をかける・かけないの問題ではなくて、どうやって声をかける状況を作り出すか、そういうことも含めてだと思うので、そこの“あうんの呼吸”というか。だからマニュアルで『知っているお客さんだったら、“いつもありがとうございます”と声をかけよう』ということではなくて、一番重要なのはその“探り合い”なのではないか。それがサービスの面白さの一つでもあると思う。探り合いながらやっているからモヤモヤして当然だと思う」
言葉遣いや態度にガッカリ?接客の印象を左右する要因
