■「ゾウからしたら狭い」vs「基準の10倍以上の広さがある」
国際動物権利団体「PETAアジア」の広報担当・今井レイラ氏は、天王寺のゾウを返すべきだと発信している。その理由として「ゾウ本来の生態が抑圧されてしまう」と語る。「世界には『サンクチュアリ』と呼ばれる広大な保護区が存在しており、そういったものがあれば、ゾウらしく生きられる環境だと思う」。
同じく「PETAアジア」のボランティアメンバー・すみれ氏も「ゾウは1日に何十キロも移動する。どれだけ福祉が整っていても、本来動物が生きるべき場所ではない」と主張する。
一方、体験型動物園「iZoo」園長・白輪剛史氏は、天王寺動物園の飼育環境について「日本の動物園の中でもトップクラスに広い」と評価する。「国際的な基準があり、その10倍ぐらいの広さがあると思う。十分飼育と動物の福祉に関わることが担保できると認められた広さより、もっと広いのがこの施設だ」。
これに対し今井氏は「人間からしたら広くても、ゾウからしたらこれじゃ足りない」と反論する。ゾウは足の裏で何キロも離れた個体とコミュニケーションを取れるという習性にも触れ、「自由に旅することができない状況だし、コミュニケーションも取れない」。また、PETAアジアのスタッフが撮影に赴いた際、「隅っこで、壁の前に頭を向けてずっと動かなかった状態があった」とも明かす。
天王寺動物園のゾウ舎の広さは0.66ヘクタール。今井氏が理想として挙げたタイのサンクチュアリ「ブンロッツ」は243ヘクタールほどとされており、「かなりの違いがある」と指摘する。白輪氏は「動物園はあくまでも飼育する専門の施設であって野生とは切り離している。野生ではこうだからという話を動物園に持ち込んでも、この話は成り立たない」と応じた。
■「動物園不要」論の背景と、受け入れ先問題の現実
