サルやイノシシが棚田を荒らし…追い払う日々に疲弊
ABEMA的ニュースショーが取材に訪れたのは新潟県三条市下田地区。豊かな森林と清流五十嵐川に育まれ、コメ作りが盛んな地域だ。
北五百川(きたいもがわ)の棚田15代目の佐野誠五さん(77)に、江戸時代からおよそ400年、15代にわたって受け継がれてきたという棚田に案内してもらった。
佐野さんが管理しているのは「北五百川の棚田」。その広さはサッカーコート約1.3面分で、1999年に日本の棚田百選に選ばれた。この棚田を佐野さんは50年間、毎日たった1人で守っている。
昼夜の寒暖差、山から流れ込む清らかな水。棚田ならではの環境が甘味とねばりのあるコメを育てる。ここで育てているのは極上のコシヒカリ。品質にこだわる佐野さんは農協には出荷せず、収穫したコメはすべて自ら販売。全国には120人の常連客がいる。
なぜ今年で辞めてしまうのか。そう尋ねていると、佐野さんの心を折った者が現れた。「子猿だな、本当の数あんなもんじゃないからな。あの10倍ぐらい」佐野さんがそう指した先には数匹の猿の姿が。隣人の畑でこれから収穫する夏野菜の葉や実を食い荒らしていた。「あれが悪さするんだわ…」(佐野さん)
2025年に佐野さんが撮影したサル・イノシシの被害にあった田んぼの映像がある。収穫を目前にした棚田にサルやイノシシが侵入。稲は踏み荒らされ、食べられ、獣の匂いがついたコメは出荷できない。去年その被害は、およそ600キログラムで、ごはん茶碗およそ9000杯分にのぼった。
爆竹を鳴らすと、サルは山に帰っていった。その繰り返しに佐野さんは疲れ果てていた。「稲穂が出てきて実ると、毎日来る。心が完全に折れました。一応80歳で辞めようと思ったんですよ。予定していたお米がとれないのでは、お客さんに迷惑がかかるから。もう無理だなと思って……辞めようかなと」。
佐野さんは棚田の下にある畑で自宅で食べる野菜も育てていた。畑の周辺に張り巡らされたものについて尋ねると、「電気柵ですね。サルとかイノシシが入れないように。今のところ全然大丈夫」と回答。なぜ田んぼには使わないのかという質問には「田んぼにはしない。平らじゃないとなかなか電気柵は無理」と、急斜面に広がる棚田では、電気柵の設置は難しいのだと語った。
棚田管理の作業時間は平地の3倍
