同じに見える頭蓋骨でも「全部表情が変わる」
2015年5月、東京駅でコインロッカーの中のスーツケースから、死後約1カ月が経った女性の遺体を発見。女性は年齢70歳から80歳くらい、身長140cmくらいとみられているが身元がわかっていない。警察は遺体の顔を「復顔(ふくがん)」と呼ばれる手法で再現し、情報を求めている。
「5月に発見されて死後1カ月であれば、完全白骨化ということはなく、ご遺体の顔はある程度認識できていたと推測する」そう語るのは、元京都府警 科学捜査研究所(科捜研)法医科長の矢山和宏氏だ。
矢山氏は科捜研時代、1000件以上の白骨を鑑定。死因や身元の特定などに従事してきた「骨のスペシャリスト」だ。
そんな矢山氏が科捜研時代、頭蓋骨から顔の復元を手がけた事件がある。1人は長髪の女性だ。2014年2月、京都府伏見区にある民家の床下で、ブルーシートにくるまれた2人の遺体を発見。そのうちの1人の身元は判明したものの、もう一人の女性(30〜40歳くらい、身長約145cm、長髪・茶髪)は依然、不明のままだ。
矢山氏は「身元を判明したい。ご遺体が無縁仏になるのか、ご家族のもとに帰すのか。そういったところでだいぶ違う」と語る。白骨化した遺体から、一体どのようにして顔を復元していくのだろうか。
「例えば鼻の骨1つでも、人それぞれ大きさや形状が若干違う。骨の上には顔の表情を作る筋肉が約30種類ついている。それによって、同じ頭蓋骨をみんな持っているが、全部表情が変わってくる」
それぞれの骨の特徴を確認し、本来張りめぐらされている筋肉をイメージ。筋肉や脂肪を、日本人の平均の厚さを基準に、粘土などを使って立体的に造形していく。頭蓋骨が語るセオリーに従って復元されたのが、先ほどの女性の顔だ。
さらに2004年2月、京都府福知山市の峠で布団にくるまれた男性の白骨遺体が発見された。殺害された可能性が高いこの白骨遺体から、矢山氏は復顔を手がけた。司法解剖の結果、遺体は50~70歳代の男性(身長156〜168cm程)で、死後1年以上経過しているとみられ、歯には多くの治療の跡があった。
顔の特徴や体型についての判断
