ここで組まれたのが、過去にABEMAトーナメントで2度の優勝を誇る稲葉八段と、大阪のホープ・山下四段の対戦だ。先手番を決める入札から盤外の駆け引きは白熱し、稲葉八段が「(山下四段は先手を)取りにきそうな気がする」と1分1秒を入札したのに対し、山下四段は「(稲葉八段は)気にしなさそう」と45秒を投じて稲葉八段の先手番に決定。「ここで決める」と気合十分の稲葉八段に対し、山下四段も「相手のペースに飲まれないようにしたい。思い切った将棋を指したい」と闘志を燃やした。
対局開始時、山下四段の心拍数は100bpmだったが、対局が進むにつれてどんどん低下していく。83bpmまで下がり、勝負所に差し掛かっても90台と極めて落ち着いた数値を保つ18歳に、実況解説の村中秀史七段(45)や解説の高橋佑二郎四段(27)も「ただ者ではない…」と驚きを隠せない。稲葉八段は卓越した勝負術で自らの勝ちパターンに引き込もうと猛攻を仕掛けるが、わずかな隙を突いて山下四段が徐々にペースを握り始める。手応えを感じたのか、ここで山下四段の心拍数は130bpm超えまで急上昇。稲葉八段も巧みな勝負術で局面を乱しにいくが、山下四段は冷静にピンチを凌いでいった。
「勝っても負けても、いいものを見ました」
