「耳元の安心感」災害時の孤立を防ぐ?ラジオが築くコミュニティ 橋本吉史氏「神社のようなもの」

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■不安を和らげる「1対1の信頼感」と「広場」としての機能

災害時のラジオの役割
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 被災した状況下で、音声メディアが人々の心に及ぼす影響について、文筆家・佐々木俊尚氏は独自の見解を示した。

 「音声というのは大きい。聞いている側にとっては、音だけというのは安心感や信頼感がある。映像で見るとちょっと距離が遠い感じがする。テレビは『テレビの前の、お茶の間の皆さん』と言うように多人数対多人数という媒体だが、一方でラジオは深夜放送が典型で、『ラジオの前のあなたに』という、1対1で耳元でささやくようなものがある。生身の人間がすぐそばにいるという信頼感はすごく大きい」。

 さらに佐々木氏は、「被災地でこんなひどい目に遭って大変だという不安でたまらない状況の中に、耳元でいつも聞いているパーソナリティの声が聞こえてくることに対する安心感は、我々がもう少し注目すべきポイントではないか」と、心理的な側面の重要性を強調した。

 町野地区をはじめ、東日本大震災の宮城県女川町や、熊本地震の熊本県御船町など、数々の被災地で災害FMの立ち上げに尽力してきた放送作家で地域メディアプロデューサーの大嶋智博氏も、ラジオがもたらす安心感について言及した。

 「今、仮設住宅に残っている高齢の方々は閉じこもってしまい、買い物に行くにも車がないとどこにも行けない状況で何年も暮らしている現実がある。昔は町で病院や買い物に行き、知り合いに会って話をする日常があったのが、今はそれがすごく薄くなってしまった」。

 その上で、大嶋氏は「まちのラジオ」が果たしている役割を次のように説明する。

 「町のいろいろな方々が毎日のように出てくる。そうすると、『誰々さんが山下さんと話している』と聞いた人が、スタジオの前に遊びに来たり、今日採れた野菜を持ってきたりと、そういう広場になっている。音声プラットフォームは、知っている人の声がすると安心するという部分において喜ばれる。失われた地域の絆や、『がんばろう』という空気を作る団結の象徴になっているところもある。PodcastやYouTubeは個人で始められるが、ラジオは国から免許を与えられ、市と連動してやっているため、『ここは嘘は言ってない』と担保された状態で出していける地域のポータル拠点になっている」。

■コミュニティの象徴としての「神社」と情報網の未来
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