■「小説は他者理解のための一番いいツール」
明治大学文学部教授の伊藤氏貴氏は、小説を学校教育で扱う意義について「他者理解を勉強するには一番いいツール」と述べる。また、小説の実用性にも言及、「現実の生活では服装や様子など外見の情報から相手の内面を推測している。小説には登場人物の様子や服装が書かれていて、それが内面を読み解く重要な手がかりになっている。そういう意味では小説はすごく実用的だ」と説明する。
また、ふくしま国語塾の主宰の福嶋隆史氏は、「小説は読んだ方がいいのは間違いない。断片的にしか読まない人もどんどん増えている」としながらも、授業で扱うことへの懸念を示す。「授業に入れると“道徳”になってしまう。心の押し付けみたいになってしまうのが最大のネックで、だいたいの生徒は嫌だと思う」と述べ、指導技術を持った教員が「淡々と言語に基づいて表現を読み取る」授業ができれば、小説を学ぶ意味は十分あると語る。
テストを実施することについては、「授業とテストは切り分けて考えるべき。授業では小説をどんどんやっていいが、テストではなるべく出さない方がいい」と福嶋氏は主張する。伊藤氏も「1つの正解を求めるテスト形式は確かに問題がある」と同意しつつ、「『ここまでは共通に読める』という部分は存在する。ある程度まで読み解いたうえで、その先はそれぞれが解釈してよい、という授業の進め方はできる」と述べた。
■小説の必要性に疑問を持つ声も
