■「これが普通だと思っていた」当事者が語る幼少期
精神疾患の親を持つ子どもや若者を支援するNPO法人「CoCoTELI」代表の平井登威氏は、自身も幼稚園年長の頃に父親がうつ病となり、家庭環境に影響を受けた当事者だ。
「親の気持ちの調子に応じて、日々の生活が変わっていく予測不能な生活が続いた。何を考えるにしても、決めるにしても、父の機嫌や調子を最初に考えてから決めていくのがベースになっていた。けんかや暴力が起きることもあった」と当時を振り返る。
小学生時代について、平井氏は「これが普通だと思っていた」と語る。「家庭のことを同級生から聞くことはなかなかないため、自分が生活している環境を当たり前のように感じてしまう。精神疾患はすごく偏見があるのでオープンにされることが少なく、学ぶ機会も全然なかった」と説明する。
父親の病気を認識したきっかけも、あいまいだという。「姉かおばから聞いた記憶がある。家の中でトラブルが起きたときに『お父さんはこういう病気だから許してあげて』と言われた。ただ、うつ病というもの自体を知らず、病名だけ教えてもらっても、具体的な説明がなく、理解するのが難しかった」と明かした。
平井氏は「大きなことを想像されがちだが、『日々ずっと親のことを優先する』という小さいことの積み重ねに、しんどさがある。予測がつきづらいこともしんどさにつながりやすい」と話す。人の顔色をうかがう習慣は、その後の友人関係や恋愛にも影響したという。
■「情報がない」ことが子どもを追い詰める
