「これが普通だと思っていた」精神疾患の親のもとで育った当事者の“予測不能な日常”と、SOSを出せない社会の壁

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■「情報がない」ことが子どもを追い詰める

田野中恭子氏
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 精神疾患の親を持つ子どもの支援を研究する佛教大学看護学部の田野中恭子教授は、当事者へのインタビューから見えてきた子どもたちの困難について解説する。

 「精神疾患に関して情報が得られず、訳も分からずに親の症状を見るしかない。私がインタビューした子どもの9割は、『誰からも説明を受けなかった』。大人であれば病気を宣告された場合に自分で調べて理解しようとするが、子どもは“知る”ことさえも分からない。親が激しいことを言えば、『自分が親を怒らせたのではないか』と責任を背負ったり、『親が元気に過ごすために、自分はどう振る舞えばいいか』と考えてしまう」と述べる。

 さらに、「親も苦しんでいて家事ができず、食事が十分に取れなかったり、基本的な生活習慣を教えてもらえない子もいる。集団生活に入って初めて『歯みがきって毎日するものなんだ』と気づく子や、友達から『汚い』と言われて恥ずかしいと感じる子もいる」と、生活面での影響も指摘した。

 一方、家庭の外でも周囲に話しづらい状況がある。「精神疾患はあまり理解されていないので、周囲の友達に話しても『なんだそりゃ』という感じで返答に困る。『じゃあこれ以上言わない方がいいよね』となってしまい、子どもが安心して自分の気持ちを出せる場がない。自分の気持ちを支えられない、ということが18歳以上になっても続いている」と、周囲の理解不足がもたらす孤立を語った。

■「精神疾患、誰でもなるよね」という社会へ
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